↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午後一時三分開議
◯議長(榎本雄一君) ただいまから、去る九月二十四日に引き続き会議を開きます。
まず、本日の会議録署名員をご指名いたします。三番薗部典子君、二十五番佐藤利三君の両君にお願いいたします。
三十九番山本秀雄君から、本日欠席の届け出がありましたので、ご報告いたします。
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◎ 理事者に対する一般質問
2 ◯議長(榎本雄一君) 九月二十四日に引き続き一般質問を行います。
本日の質問者は、十六番数藤武司君、三十七番米沢正和君、四番古橋けんいち君、三十六番斉藤久也君、二十七番秋田茂夫君、三十二番菊池幸江君、八番板津道也君、二十三番添谷良夫君、二十一番中村まさ子君の九名ですので、これを順次お許しいたします。
十六番数藤武司君。
(十六番数藤武司君登壇)
3 ◯十六番(数藤武司君) 私は、自民党議員として、大綱三点にわたって質問いたします。区長並びに理事者の積極的な答弁をお願いいたします。
我が国は食料輸入大国であり、東京はまた一大消費地として、国外、国内から食料品が集積してまいります。こうしたさなかで、一.一昨年のBSE問題や、二.食品の偽装表示事件、三.輸入農作物の残留農薬問題、四.
遺伝子組み換え食品の安全性、五.食品添加物の安全性、六.キンメダイの摂取が妊婦の健康に影響を及ぼすなどのグレーゾーンの情報の扱いの問題など、食品をめぐるトラブルが増加の一途をたどっております。
さきの通常国会では、こうした問題状況を背景に、「食の憲法」ともいえる食品安全基本法と関連七法が成立をみることになりました。
一方、東京都は食品の安全を確保するため、独自の制度構築に向けて、
食品安全基本条例の制定を視野に、このたび「
食品安全情報評価委員会」を設置したと聞いております。
この「
食品安全情報評価委員会」は、学識経験者、食品専門家等からなり、グレーンゾーンを含めたリスク情報への対応をスピードアップするため、独自に情報を収集し、科学的に分析評価した上で、健康局長に対して提言を行うことを旨とし、また、事業者には調査への協力義務を課すとともに、食品の自主回収を行う際には都への報告を義務づけるなど、東京都独自の仕組みを創設することとしております。
私は、広域的行政をあずかる都のこのような評価機関の新設やリスク情報処理のスピードアップこそが必要であり、急がなければならないと考えます。
そこで伺います。これらの国、都の動きを受けて、区民に最も身近な存在である区として、都との役割分担、協力のあり方をどのように考えておられるでしょうか。
次に、カイワレダイコン問題では風評が問われましたが、法のすき間を埋めるグレーゾーンは健康被害が生じていなくても、外国等で既に健康被害が発生しており、その状況から、近い将来、健康障害が発生するおそれがあるものや、いまだ健康被害が顕在化してはいないが、早く対応すれば被害を最小限にとどめることができるもの等があります。それだけにリスク情報等の収集方法とその集約、都への通知をどのように考えておられるでしょうか。
次に、
食品衛生監視員等関係職員の研修の必要であります。
遺伝子組み換え食品やバイオテクノロジーを駆使した日進月歩の食品開発、残留農薬や添加物等、それを監視する職員には高度な専門性が要求されるかと思います。
また、風評を含めた情報処理の扱い等についても、職員の資質が問われます。関係職員も専門研修はぜひ必要と思いますが、お答えをいただきたいと思います。
次に、本区のまちづくりと
商店街活性化対策についてお伺いいたします。
我が国の最近の経済は、株価の上昇やアメリカ経済の回復基調から、一部に持ち直しの動きが見られるものの、デフレの進行や倒産件数、失業率の高水準が続いており、依然として先行き不透明感が続くなど、厳しい経済環境であります。
このような状況の中、区内商店街を取り巻く環境も一段と厳しさを増してきており、区内商店数も昭和六十一年の四千百三十三店から年々減少しており、平成十四年では三千二百九十六店と約二割の減となっております。
このような「町の顔」であります商店街の衰退は、本区のまちづくりにとって重要な問題であり、区内経済の活性化、区民の豊かな生活への寄与等からも商店街の活性化が不可欠となっております。
このため、区では昨年三月に「江東区
商店街振興プラン」を策定し、商店街対策に取り組んでいることは評価するものですが、結果として、効果的な対応策が出ていないと感じておりますので、何点かお伺いいたします。
江東区の人口は、昭和六十二年に三十九万三千人を最高に減少傾向が見られたものの、平成十年から再び増加に転じ、昨年八月に初めて四十万人を超え、人口動態から見て、商店街を取り巻く市場環境は拡大基調となっております。
しかしながら、大型店の進出や車社会による区民生活の変化等、商店街を取り巻く環境は大きく変化したにもかかわらず、この変化への対応におくれたことが、結果として商店街の衰退につながったことも事実であります。
その原因は、個人を尊重する風潮が強くなり、相対的にかつて地域社会に存在した規範やきずなに基づく一体感や信頼関係が薄れ、地域社会との連携不足と思われます。実際に、「江東区
商店街振興プラン」の中でも、地域住民や地域団体、NPOなどと連携して取り組んでいる商店街は、全体の一三%にすぎませんでした。
そこで、今後の
商店街活性化対策の一つとして、行政、地域社会、商店街が三位一体となり、各商店街ごとに、消費者、町会・自治会、PTA、学校等の地域住民や地域団体、NPOを構成とした「
商店街活性化まちづくり組織」を設立することが必要かと思いますが、これについて検討、実施すべきと思いますが、お伺いします。
次に、商店数の減少の最大の原因は、後継者不足であります。経済産業省は、商業団体などが実施している商店街の
若手リーダー育成プログラム「商人塾」に関する報告書をまとめ、それによると、既に実施している団体の六五%が「有効」と回答、今後の実施に向けた潜在ニーズも高かったと報道されております。
本区においても、現在の商店街の厳しい状況の中で、商店街が社会、消費、環境の変化等の課題に対するためには人材の発掘と育成が不可欠であり、そのためには、商店街リーダーを養成するため、行政として「商人塾」や「後継者育成塾」等の開催について検討、実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、観光行政の充実についてお伺いいたします。
現在、本区の観光行政は、亀戸・深川両観光協会があり、毎年、地域の特性を生かした事業を展開しており、地域の活性化に貢献するとともに、区の観光行政の一翼を担っております。しかし、最近の事業は、それぞれ特定の地域のみで行っており、他の地域には何らの恩恵のないのが実情であります。
本区の観光資源には、従来からの伝統的文化、下町情緒に加えて、最近では、東京都現代美術館、臨海部においては東京ビックサイトなど、さまざまな施設等観光資源には非常に恵まれた区と言われております。また、最近の大江戸線、半蔵門線の開通により、他の地域からの観光客もふえており、今後、行政としてより積極的なPRが不可欠かと思います。
最近の例によれば、東京都現代美術館のイベント「ジブリがいっぱい」には、六月十四日から九月七日までの約三カ月で、全国から約二十四万人が来館し、近隣の商店街は大変にぎわったと聞いております。
そこで、今後の区の観光振興のあり方について提案します。
本区のまちづくりの一環として、また、今後の
商店街活性化対策の一つとして観光行政を充実するため、区の組織に観光担当課を設置するとともに、新たに大島、砂町、深川北部、臨海部等に観光協会を設立し、既存の亀戸、深川をあわせた上部組織として、任意団体としての「江東区観光連盟」を設立することにより、今まで以上に地域に密着した観光事業の展開と、「江東区観光連盟」の設立により、地域でできなかった広域的な事業が可能となり、区民以外の観光客も誘致することによる経済波及効果もはかり知れないものと思いますが、これらについて検討、実施すべきと思いますが、お伺いします。
次に、冬場を迎えて再流行が懸念される、いわゆる新型肺炎・SARS(サーズ)についてお伺いいたします。
この七月に世界保健機構(WHO)は、昨年十一月に中国・広東省で発生した後、アジアを中心に三十二カ国・地域で八千四百人を超える患者と、その一割に当たる八百人以上の死亡という猛威を振るい、経済にも大打撃を与えたSARSについて、最後の感染地域であった台湾の地域指定を解除し、ひとまず終息にこぎつけたことはご案内のとおりであります。
しかし、今回の終息宣言でSARSの脅威が消滅したわけではなく、流行の一時休止にすぎないと言われております。この問題につきましては、さきの第二回定例会本会議で、我が党の同僚、鈴木きよと議員が質問いたしましたが、これから空気が乾燥する冬場に向けて再流行のおそれが懸念されるところから、再度お尋ねするものであります。
まず、区の危機管理体制の確立と職員の危機管理意識の向上についてであります。
航空機など交通手段の発達により、人や物資の流通が盛んになったことで、SARSなど感染症の越境も極めて容易になっております。このたびの世界的なSARSの流行において、我が国に一人の患者の発生をも見なかったことは、まさに幸運の積み重ねであったと言われております。いつ、どのような形で危機が襲ってくるかわかりません。危機が発生する以前の段階、発生した段階、そして、終息した段階と、それぞれに対策を立て、それを実施できる体制を構築しておくことが必要であると思います。そのためには、ふだんからこれに対応できる組織をきちんと整備しておくことが求められると思いますが、いかがでしょうか。
また、職員の危機管理意識の向上に努めることが極めて重要であります。今春、我が国において、SARSに感染している疑いのある台湾人医師の入国に際し、その拡大防止措置に当たるべき立場の者がSARS情報の重大さに気づかなかったことが初動対応のおくれにつながったとの報道もあります。職員には日ごろから意識的な情報収集、研修や
危機管理マニュアルの整備などを通じて、その危機管理意識の向上に努めることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、具体例を想定しての訓練と地域住民への情報提供のあり方についてであります。
SARSなど大規模な感染症は、年中発生しているわけではありません。しかし、保健所を初めとする専門機関は、ふだんから危機に対する備えを怠るわけにはいきません。一たん事が発生した場合、迅速・正確な対応が求められております。ここに訓練の重要性があると言われ、SARSに対しても、今春の教訓を参考に、具体例を想定しての他機関との連携、窓口対応、患者の接触調査・隔離などの事例演習、図上訓練などが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
また、地域住民にタイミングのよい情報提供を行うことで住民の不安解消や混乱の回避を図り、さらには予防上のPRを行うことなどによって行政の取り組みへの理解を高めることも必要かと思います。この情報提供のあり方についても、あわせてお尋ねいたします。
次に、SARSと症状の類似したインフルエンザへの対策についてであります。
SARSの初期症状におきましては、急な高熱、せきや息切れ、頭痛、悪寒、倦怠感などインフルエンザと似ており、容易に区別できないと言われております。SARSは乾燥した空気で感染が広がりやすく、冬場はインフルエンザとのダブル流行が懸念されております。このことから、医療現場での混乱を避ける措置を講じることが求められます。このため、インフルエンザの予防対策を十分にPRする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
特に、高齢者に対しては、その必要性が高いものと思われます。区では昨年、高齢者に対してインフルエンザの予防接種費用の一部負担を実施しておりますが、今年度については、いかがでしょうか。あわせてお伺いいたします。
区では今後、国、東京都との役割分担のもとに、このSARS対策をさらに進められるものと思いますが、一層の努力をお願いするものであります。
以上をもって、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
4 ◯区長(室橋昭君) 数藤武司議員の質問のうち、私からは、食品の安全対策の強化についてのご質問にお答えをいたします。
一昨年のBSE問題以降、食品の偽装表示事件、健康食品による健康被害、輸入食品の残留農薬問題等々、食の安全と信頼を揺るがすさまざまな問題が次々と起こっている状況でございます。
国では、食品の安全性に対する国民の不安の高まりを踏まえ、その信頼を取り戻すために、国民の健康の保護が最も重要であることを基本理念とした「食品安全基本法」を本年五月に制定したところでございます。さらに、「食品安全基本法」制定の趣旨を受けて、国、地方自治体や食品等事業者の責務を明確化し、食品基準の整備を導入した
改正「食品衛生法」が八月二十九日に施行されております。
まず、東京都との役割分担、協力のあり方についてでございますが、現在、東京都は食品の安全・安心の確保に向け、「
食品安全情報評価委員会」の設置や「
食品衛生自主管理認証制度」の創設など、独自の仕組みの構築を進めております。また、食品の安全行政を総合的に推進するために、「基本的な考え方」を取りまとめ、「(仮称)東京都
食品安全基本条例」の制定に向けて具体的な検討を進めていると承っております。
今日、国産、輸入を問わず膨大な種類、量の食品が広域に流通しております。食品の生産、製造から流通、消費に至るあらゆる段階での安全確保が必要であることから、広域的な対応を行う東京都と連携をし、本区といたしましては、きめ細かく、地域に密着した食品の監視・指導を行っているところでございます。
次に、リスク情報等の収集方法・調査、東京都への通知についてでございます。
流通する食品についてのリスク情報を収集・共有化し、すばやく対応できれば、区民が受ける食の被害を最小限にとどめることができると認識をいたしております。特に本区では、本年四月に保健所に食の安全班を設け、食品の安全情報の窓口として情報収集、情報発信の一元化を図り、機動的に対応できるように努めているところでございます。日常の監視・指導の中で得るリスク情報を的確に把握するとともに、食の安全班の窓口を活用し、東京都に対し、迅速な情報提供を図ってまいります。また、国や都からの情報を区として分析、評価を行い、区民、営業者へホームページや区報、
食品安全ニュースなどを通じて情報提供してまいりたいと存じます。
次に、区職員の研修強化についてでございますが、食品生産技術の高度化や生産拠点の国際化に伴いまして、さまざまな食品が日々流通し、そのすべてが監視の対象になります。
このような中で、食品の安全性を確保し、区民の健康の保護を図るためには、高度で多様な専門的知識を有することが求められることは言うまでもございません。区民の期待にこたえるべく、食品衛生監視員は毎日、最新情報の把握に努めておりますが、今後とも積極的に専門研修や講習会に参加させ、資質の向上を図ってまいる所存でございます。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(
区民部長平松宏章君登壇)
5 ◯区民部長(平松宏章君) 私からは、本区のまちづくりと
商店街活性化対策についてお答えいたします。
初めに、商店街の活性化対策でございますが、本区商店街の現状は、人口の増加にもかかわらず、大規模店舗の進出や消費者の購買行動の変化などにより店舗や顧客が減少するなど、大変厳しい状況にございます。
このような状況の中で、区としては、平成十四年に
商店街振興プランを策定し、商店街の取り組むべき課題として、コミュニティ機能の強化、高齢者対策、個性の発揮など六項目をあげ、商店街の環境整備事業やイベント助成事業などの支援を行ってまいりました。
ご質問の「
商店街活性化まちづくり組織」の設立は、商店街存立の基盤である地域社会との連携を深めることにより商店街の活性化を図るものであり、効果的であると存じますが、基本的には、各商店街の主体的な活動により設立、運営が図られるべきものであると思います。
したがいまして、ご質問の趣旨を
十分商店街連合会にお伝えするとともに、商店街において、具体的な取り組みが行われるような状況になった場合に、区としての支援を検討したいと考えております。
次に、「商人塾」や「後継者育成塾」の開催についてであります。商店の後継者難は商店街を取り巻く環境の変化とは異なり、商店街自身が抱える課題であり、次代を担う人材の育成が必要となっていることから、本区においては、商店街連合会が後継者研修を行い、区も経費の一部を助成しております。
また、全国各地で「商人塾」などの名称で充実した内容の若手リーダーの育成活動が行われており、東京都においても、東京都
商店街振興組合連合会の主催により「商店街大学」が開催されております。
これらの活動の実施団体に対するアンケート調査の結果によりますと、実施団体の評価としては、人材育成の有効性はあるものの、参加者が少ない等の課題も指摘されているところでございます。
そこで、「商人塾」等の開催を検討、実施するべきとのご提案でございますが、現在、各地で実施されている事業の多くが、その地域の商工会議所等の主催であり、また、本区においては、現在、商店街連合会が後継者研修を実施しているところでありますので、この内容の充実を図るなどの場合には、区としての支援を検討していきたいと考えております。
次に、観光行政の充実についてお答えします。
本区には、多くの名所・旧跡、文化施設などの観光資源が存在しております。また、都心に近く、公共交通網が充実しているところから、観光振興が地域の活性化に重要な役割を果たすものと考えております。
また、亀戸・深川観光協会が、地域の特性を生かした特色ある事業を実施しており、区としても、事業費の補助などの支援を行っているところでございます。そこで、観光行政の充実を図るために、観光担当課を設置するべきとのご質問でございますが、課の設置は難しいところですが、経済課の中で、観光と商業振興の連携を図る方向を検討しているところでございます。また、地域別観光協会と上部組織の江東区観光連盟の設立につきましては、観光協会のあり方や地域の合意形成などの問題がございますので、今後の課題とさせていただきたいと存じます。
(保健所長中西好子君登壇)
6 ◯保健所長(中西好子君) 私からは、
重症急性呼吸器症候群、新型肺炎・SARSについてのご質問にお答えいたします。
地球規模で広がったSARSについては、本年七月五日にWHOによる流行終息宣言が出されております。八月末のWHOの集計結果によれば、世界三十二カ国・地域のSARS患者は、昨年十一月から本年八月七日までに八千四百二十二人に上り、致死率は一一%でございました。しかし、疾患そのものが根絶されたわけではなく、冬に再燃する危険については、当初から指摘されております。九月九日に早くも、シンガポールにおいて患者一名の報告がございましたが、この事例は研究室内での感染によるものと推測され、感染拡大のおそれはないと発表されております。
お尋ねの区の危機管理体制と職員の
危機管理意識向上についてでございますが、このたびの世界的な流行の制圧には、隔離と衛生管理の徹底が効果的であったことからも、平常時における衛生知識の普及及び感染症発生時防疫体制のさらなる強化に努めてまいります。
職員の
危機管理意識向上についてでございますが、本区では、SARSだけではなく、生物テロとして利用される可能性の高い天然痘への対応も含め、保健所職員を積極的に
健康危機管理研修に参加させ、資質の向上を図っているところであります。また、警察、消防、医療機関等、関係団体との連携の強化及び健康危機発生時
対応マニュアル整備を目的として、十月には第一回
健康危機管理対策協議会を開催するなど、
健康危機管理体制の確立を図りたいと考えております。
次に、具体例を想定しての訓練についてのお尋ねでございますが、これまでに保健所職員を対象に、計三回、感染防護服の着脱訓練等を実施しております。また、患者が発生した疑いで二回、実際に出動いたしました。さらに今後、患者発生時の患者搬送、接触者調査などを想定した訓練を行っていく予定でございます。
次に、地域住民への不安解消や予防のための情報提供のあり方についてのお尋ねでございますが、このたびの流行時にも実施したように、患者発生時の状況に応じて必要な情報を区民に提供するため、わかりやすく迅速に区報、ホームページ等に掲載するとともに、保健所、保健相談所において、随時、電話相談を実施いたします。また、東京都健康局においては、二十三区との協力により、
夜間SARS専門電話相談窓口設置へ向けて準備をしていると聞いております。
次に、SARSと症状が類似しているインフルエンザの予防対策についてのお尋ねでございますが、一般的な感染症予防としての手洗い、うがい、マスク着用の励行のほか、インフルエンザの予防接種をより多くの方に受けていただくため、今後とも、区報、インターネットを活用していく予定でございます。
高齢者の
インフルエンザ予防接種につきましては、十月十一日の区報に記事を掲載いたしますが、今年度も昨年同様、費用の一部負担を実施いたします。
SARS患者の発生は、流行地からの入国者もしくはSARS患者との濃厚接触者に限られているため、患者発生時に接触者調査及び患者隔離等を速やかに実施することにより、一般区民への感染拡大防止を図ってまいります。今後とも、国、都と連携し、SARS対策を的確に行っていく所存でございます。
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7 ◯議長(榎本雄一君) 三十七番米沢正和君。
(三十七番米沢正和君登壇)
8 ◯三十七番(米沢正和君) 私は、江東区議会自由民主党議員として、三点にわたりまして質問いたします。
その第一点目は、一般廃棄物の中間処理及び本区の環境清掃事業のあり方についてであります。
平成十二年四月、都区制度改革が実現し、区民に最も身近な事業の一つである清掃事業が最終処分を除き、特別区に移管されました。清掃職員の身分的な取り扱い、あるいはまた、中間処理のあり方、財源配分等、さまざまな課題を抱えての船出でありましたけれども、事業移管から三年を経た今日、良好な事業の進展を見ていることは、この事業にかかわっている職員の方々に心から感謝申し上げる次第であります。
さて、去る七月、区長会は、残された課題の一つである特別区における一般廃棄物の中間処理について、マスコミの言葉をかりますと、自己完結型の「自区内処理の原則」を大きく転換する、あるいは、この原則を事実上崩すという方針を決定したわけであります。すなわち、二十三区は工場のある区も、ない区も、相互に協調・連携し、安定的な中間処理体制を確保すること、ごみ量の減少等を踏まえるならば、今、新たな清掃工場の必要性はないこと、今後の中間処理のあり方については、「協議案」にとらわれることなく、改めて区長会で協議することの三点であります。
この方針決定を受けまして、清掃一部事務組合は、八月に入りまして、中野、新宿、荒川三地区の工場建設を撤回する施設整備計画の見直しを行ったと聞いております。
そこでお伺いいたします。この三区の清掃工場建設計画の撤回は、マスコミに報じられているように、昭和四十六年の、いわゆる「ごみ戦争」以来、本区が主張してまいりました自区内で発生したごみは自区内で処理するという「自区内処理の原則」の終焉を意味するものでありましょうか。当時、区議会議長としてこの問題に大きくかかわってまいりました私といたしましては、重大な関心を持たざるを得ません。本区がこれまで、ごみとかかわってきた歴史的経緯を踏まえれは、多くの同僚議員も同様の気持ちをお持ちではないかと思うわけであります。
また、この「自区内処理の原則」と表裏一体の関係にある「迷惑負担公平の原則」からすれば、今後とも工場を設置しない区の一般廃棄物処理行政における責任と役割分担、さらには、清掃一部事務組合の分担金に象徴される中間処理にかかわる費用負担のあり方については、当然のことながら、大きな変更が必要になってくると思われますが、現時点でどのようなお考えをお持ちなのかお尋ねしたいと思います。
この点に関しましては、現在、新江東清掃工場及び有明清掃工場、すなわち、江東区内二カ所の工場において、他区のごみを含めて、二十三区の二〇%に及ぶ中間処理を行っていること、さらには、他区からの清掃車の通行により、環境負荷など、今なお区民は多大な迷惑をこうむっていることを忘れてはならないのであります。
今後、これらの諸課題も含めまして、区長会で協議されるとのことでありますが、特例的な対応期間である平成十七年度末まで、あと三年を切っているわけであります。時間的な余裕がない中で、いかなる体制で、いつまでに結論を出されようとしているのでしょうか。区長会会長として室橋区長の手腕が問われる最大の局面と思われますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
この質問の二つ目は、本区の環境清掃事業の今後のあり方、とりわけ、清掃事務所の統合と環境センターの整備についてであります。
私は、十二年第二回定例会の一般質問におきまして、積極的な区内の清掃施設の統合を検討すべきではないかとの提言を行いましたが、区当局におかれましては、これを真摯に受けとめて、十三年十月には深川清掃事務所を八枝庁舎に移転されました。今回は、さらに一歩進めて、深川・城東の両清掃事務所の組織及び庁舎の統合を提言いたしたいと思います。
既に、他区では幾つかの区において、組織や庁舎の統合が行われていると聞いておるわけであります。それぞれの区が抱えている事情に相違はあるでしょうけれども、本区においても、城東清掃事務所の立地条件、あるいは、事業の統一性、また、事業運営の効率性、さらには、人件費や事務所管理・運営経費の削減等を考慮すれば、積極的にその統合を検討すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
清掃事務所の統合については、場所的にも、敷地の広さからいっても、八枝の現深川清掃事務所が適当と思いますが、百人以上の職員がふえることを考えますと、当然、庁舎の増築なり、改築が必要となってまいります。そこで、この際、八枝の庁舎を自然エネルギーの活用を図り、環境面に配慮したモデル施設として改築し、清掃事務所機能に加えまして、区民のための環境学習機能を付加し、総合的な環境センターとして整備をされてはいかがでしょうか。そして、その中には、江東区の埋め立てやごみとの戦いの歴史を紹介する展示室を設けることを提言したいと思います。
三点目の質問は、現在、無償貸し付けとされている旧八枝清掃事業所、現在の深川清掃事務所の土地の取り扱いについてであります。
この問題につきましても、既に三年前に質問しておりますので、細かくは繰り返して申し上げませんが、環境センターの整備には、この問題は避けては通れない問題であります。それはさておきましても、今後、江東区が環境面での施策のみならず、さまざまな独自施策を展開していく上で欠かせない種地となることは言うに及びません。区としても、その無償譲渡を東京都に求めていると思いますけれども、その後の状況の進展はどうなっているのかお聞かせいただきたいと思います。
次に、大きな第二点目であります。福祉施設のあり方であります。
例えば、保育問題を例にお尋ねいたしたいと思います。
ご承知のとおり、自治体がその財源もエネルギーも最も費やさなければならない分野が福祉であります。それだからこそ、全体のバランスと継続性への配慮が欠かせないわけであります。相手に対するやさしい心と成果に対する厳しい目、これをあわせ持って対応することが求められるわけであります。こういった視点から、気になったことを質問したいと思います。
さきの第二回定例会で何人かの同僚議員から、認可保育園と認可外保育園における保護者の保育料負担の格差是正を求める意見が出され、それが待機児解消の決め手になる旨の考えが示されたわけであります。言うまでもなく、認可保育園と認可外保育園との間には、負担のアンバランスがあることはだれもが認識しているところであります。できればこれを解消したいと考えるのは、共通するものではないでしょうか。
問題は、単純に認可外保育園に子どもを通わせている保護者に補助金を交付するというだけの策でよいかどうかということであります。もちろん、行政もこれにつきましては、認可保育園の保育料等とあわせて考えていきたい旨の答弁はしておりましたけれども、私は、この問題について、次の二点を俎上に乗せるべきだと思っております。
その一つは、認可保育園における本区の公私立の割合は、今のままでよいかという問題であります。二つ目は、保育料の額もさることながら、保育料の決定方針の見直しは必要ないのかという問題であります。
まず、この点に関する区の見解を伺っておきます。
一つ目の公私立の割合ですが、現在のような公立が八割近くを占めているということは、高齢者や障害者施設と比べましても、また、公立保育園の全国的比率に比べても高過ぎるのではないかと思うわけであります。
二つ目の現在の保育料の決定方式が二十数段階もの応能負担となっていることが適当かということであります。特に、保育園のような多額の税が投入されている分野で保育サービスの対価が厳密な応能負担というのは問題があると私は思います。申し上げるまでもなく、税は所得税でもわかるように、応能主義を基本に徴されているわけであります。税は広範な行政サービスの原資となるものですからやむを得ないわけでありますけれども、保育料はこれとは違い、はっきりとした保育サービスの対価でありますので、もう少し応益原則を加味した単純な方式に見直すべきではないでしょうか。所得の捕捉が正確ならばまだしも、そうでないとすれば、二重の不合理を課すことになるのではないかと思います。この点もあわせてお伺いいたします。
私が申し上げた公私立保育園の割合是正にしても、保育料の決定方式の見直しにしても、なかなか難問であります。しかしながら、私があえて申し上げたのは、単純で、だれもが異論を差し挟みにくい補助金の交付といったことで済ますのではなく、根本的で将来の福祉のあり方まで視野に入れました検討を行うことが、健全で合理的な行政運営が強く期待される昨今の自治体のあり方から見てとるべき姿勢であると思われますが、いかがでありましょうか。
以上、るる申し上げましたのは、ほんの一例であります。保育だけでなく、他の福祉分野においても、はたまた、他の行政分野においても同じでしょうが、行政には安易な解決に飛びつくのではなく、常に基本的・根本的問題にまで立ち返って、総合的検討をする覚悟をお願いし、二点目の質問を終わります。
第三点は、中小企業公社と産業振興施策であります。
中小企業公社の見直しと今後の産業振興施策について改めてお伺いします。
財団法人中小企業公社は、中小企業の振興及び地域社会の発展を目的として、平成三年三月に設立されました。その後十二年余りにわたって産業会館等の管理・運営や産業振興事業、さらには、勤労者福祉事業を行って、区内産業の活性化と勤労者福祉の充実を図ってきたわけであります。中小企業公社の設立時には、民間団体のメリットを生かした効率的な区民サービスの提供が期待され、産業会館の休日開館のほか、さまざまな産業振興施策を実施いたしまして、一定の効果を上げてきたところでありますが、その一方で、「区と公社の事業の区別がわかりにくい」との声がたくさん出ているところであります。
また、私は、現在の厳しい財政状況下において、質・量ともに増大する住民の行政需要に的確に対応するためには、区の行財政改革だけでなく、財団等を統廃合することによって、管理部門の人件費等の経費を圧縮することも必要ではないかと思うわけであります。これも以前から私は指摘をしてきたところであります。
また、本区の目指す水彩都市の将来像は、内陸部のみならず、臨海部を包含するものでございます。その意味からも、「港町江東」の取り組みと小、中、高生による「(仮称)二十一世紀ベイエリア江東検討委員会」につきましては、貴重なご提言と受けとめ、今後のまちづくりの施策の中で、ご趣旨を十分生かしてまいりたいと存じます。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(環境清掃部長合田進君登壇)
15 ◯環境清掃部長(合田進君) 私からは、「江東区みんなでまちをきれいにする条例」についてのご質問についてお答えをいたします。
まず、条例第十条の「みんなでまちをきれいにする日」についてでございますが、本区では、昭和六十二年度から春・秋の年二回、町会・自治会の参加を得て、「みんなでまちをきれいにする運動」として、町の一斉清掃を実施してまいりました。条例制定後は、この一斉清掃の日を「みんなでまちをきれいにする日」として、毎年度ごとに定めております。
区民には区報で周知を図るほか、町会・自治会等へ個別に参加案内を郵送するとともに、連合町会の定例会においても参加を依頼しております。また、実施日前後の一定期間、小中学生作成の「まちきれポスター」を区関連施設、広報板、町会・自治会掲示板等へ掲出して、周知及び啓発に努めているところでございます。
次に、本条例施行後の成果についてでございますが、平成十五年度春の「みんなでまちをきれいにする日」には、町会・自治会を中心に二百五十一団体、およそ二万人の参加がございました。この参加率は、登録された町会・自治会の九二%を超える高いものでございます。また、小中学生を対象とした「みんなでまちをきれいにするポスターコンクール」には、今年度九百九十六点の応募がございました。このように、区民の環境美化に対する関心は決して低くはございませんが、残念ながら、一目瞭然でごみが減ったことがわかるという状況には至っておりません。
しかしながら、区民の自発性に基づく清掃活動である「わがまち江東きれいに活動」への参加者が徐々にふえ、現在、二十五団体、約八百人が参加していることに見られるように、区民の中に一歩一歩、着実に環境美化への意識が醸成されつつあると考えております。
次に、ご指摘のございました道路や公園などの公共施設におけるごみの投棄への対応でございますが、公園や児童遊園におきましては、原則として週一回から二回の定期清掃により、ごみの収集・撤去を実施してまいります。また、除草は草の伸びぐあいにもより、年四回行っております。今後とも引き続き、清掃と除草作業に努めてまいりますとともに、看板による啓発等を行い、公共施設へのごみの投棄を減らしていきたいと考えております。
次に、たばこのポイ捨て及び歩きたばこを禁止する条例の制定についてでございます。
ご質問にもございましたが、今日のたばこをめぐる問題は、喫煙や受動喫煙による健康への影響のみならず、歩行喫煙やポイ捨てに伴う火災及び人体に与える危険性、町の美化など、多方面に及んでおります。
本区といたしましては、これらの行為は基本的には個々人のモラルの喪失に起因していると考えており、地域美化の観点から、既に「江東区みんなでまちをきれいにする条例」の中でポイ捨てを禁止するとともに、モラルの向上を図っているところでございます。今後、区民に対する働きかけに加え、区外からの通勤者に向けて、区内事業所へ働きかけを拡大するなど、粘り強く啓発に努めてまいりますが、ご提案の単独条例化につきましては、どのように実効性を確保していくかなどの問題もあり、今後の課題とさせていただきます。
(生涯学習部長矢野純二君登壇)
16 ◯生涯学習部長(矢野純二君) 私からは、図書館の新しい活用方法についてのご質問にお答えいたします。
区立図書館は現在、十館が設置されており、図書館法に基づく公共施設として、図書等の資料収集、提供に努めており、本区においては、昨年四月からは効率的な管理・運営を目指して窓口サービスを初め、図書館業務の一部民間委託化を開始し、図書館を利用される区民の方々から好評を得ているところでございます。
一方、ご指摘のありました図書館の役割について、文部科学省が「多様な学習機会の提供」を挙げ、さらに、平成十四年には、図書館を地域における「IT学習プラザ」として位置づけ、地域住民のIT技術のスキルアップやITを通じた学習情報及びまちづくり情報など、各種の情報入手のための拠点としての機能を担わせることとしたことは承知しております。
本区におきましても、図書館IT化の重要性を踏まえ、昨年六月からインターネット利用による蔵書検索・予約システムを開始したところでございます。その結果、予約は従来の約三倍に増加し、インターネット利用による予約について、当初の予想を超える実績があったところでございます。今後、これらの実績を踏まえ、来年度より図書館にインターネット端末を設置し、図書館利用者が情報アクセスのためインターネットを容易に体験できる環境整備に努める必要があると考えております。
そこで、ご提案のありました無線LANの導入についてでございますが、現在のところ、各館の構造やインターネット環境などの制約もあるため、来年度につきましては、中央館である江東図書館でモデル的に開始し、その効果を確認しつつ、順次、全館に拡大していきたいと考えております。
その過程におきまして、有害サイトへのアクセス制限などにも十分に配慮しながら、ご提案の無線LANの活用を検討していきたいと考えております。
今後とも、図書館を地域における文化、教養の向上を図る知的な拠点並びに地域情報発信の拠点とするため、資料の充実をもとに、インターネットを活用した時代のニーズに対応した多くの分野の情報提供に努めてまいりたいと考えております。
(土木部長大塚將夫君登壇)
17 ◯土木部長(大塚將夫君) 私からは、だれもが必要とする公衆トイレについてお答えいたします。
道路や公園に設置している「だれでもトイレ」は、すべての人々にやさしいまちづくりの一環として取り組んできたものであります。このトイレは、車いす利用者のみならず、高齢者や妊婦、ベビーカーを利用している方々が安心して快適に利用できるよう工夫したもので、段差の解消、明るさの確保や簡素なデザインにも努めております。
区ではこれまで、大規模公園や駅前など人の多く集まる場所を中心に、三十二カ所の「だれでもトイレ」を設置してまいりました。今後は、公衆便所の改修時期に合わせて計画的に「だれでもトイレ」に改修することで、皆様に安心して利用できるトイレ環境の向上を進めていく予定であります。
「だれでもトイレ」の整備に当たっては、建設コストの削減や既存施設の有効利用などにより、設置計画の早期達成に努めてまいりたいと存じております。また、地域開発にあわせて開発者が設置するトイレについても、「だれでもトイレ」の整備を指導していきたいと考えております。
次に、オストメイト対応の多目的トイレの設置についてお答えいたします。
病気のために排泄機能を喪失した方が増加する一方、人工肛門、人工膀胱の進歩もあり、ストーマ装着者の社会復帰や外出の機会もふえていると仄聞しております。
さて、ご指摘のありました公共施設のトイレについて、庁舎及び文化センターなどに身障者用トイレの設置をしておりますが、オストメイトの方が必要としている「汚物流し台」、「シャワー」の両方の設備は設置されておりません。
本区においても、ストーマ装具の給付者が四百名を越す状況にあります。したがいまして、トイレの衛生確保、関係する設備や必要とする面積など、多目的トイレについて今後、調査・研究してまいりたいと存じます。
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18 ◯議長(榎本雄一君) 三十六番斉藤久也君。
(三十六番斉藤久也君登壇)
19 ◯三十六番(斉藤久也君) 私は、大綱三点について質問をいたします。
まず、第一は、財調制度のあり方と新たな問題、また、国や東京都の緊縮財政についてであります。
まず、二十三区の富裕区とそうでない区との格差について伺います。
財調制度は首都東京における大都市の一体性を図り、二十三区の行政格差を是正し、本来、各区が徴収すべき税収等を平均的に配分するために設けられた制度であります。当時は大幅な景気変動が少なく、区側としては、一抹の不安を抱きながらも、どうにか今日まで推移してきたところでありますが、平成二年ごろよりバブル経済崩壊が始まり、調整三税、特に法人住民税の減収が大きく、需要額の算定が厳しくなり、当然、収入の部においても区民税の減収も生じ、四四%の調整三税もその影響を受け、全体のパイが小さいところへ支出増になってきたものであります。
しかし、制度改革以前は、都は交付金の減収分を一般会計より補てんし、また、必要に応じ、都の責任で基金の貸し付け等で対処してきたところであります。それでも、多様化する区民要望に対応するために、区が財政白書を踏まえ、行財政改革を抜本的に行ってきたことは、具体的に私が今さら申し上げるまでもなく、ご承知のとおりであります。
さらに、平成十二年度からは、基準財政収入額については過去三年間の平均値とし、基準財政需要額については、十七年度まで、一応、五二%の枠内以外は一切補てんしないという「総額補てん主義の廃止」が実施されたわけであります。
つまり、不足分については二十三区が自ら需要額を調整する必要がある。加えて、収入額が需要額より多い区は、以前は納付金制度といってその財源超過分が普通交付金に合算されていたものが、平成十四年度で渋谷区、平成十五年度で渋谷区、港区が、それぞれの区の自主財源として自由に使えることになったことによりその他の区との格差が生じ、二区の計は約百億円と言われております。財政的には二十三区横並びの時代は崩れたと見るべきでありましょう。しかしながら、この二区は本区のように、特別に行財政改革を積極的に実施した結果であるとは思えず、たまたま地域の財政環境に恵まれているという結果であると思われます。
そして、自主性という立場から、今後ますます各区間の格差が生じる可能性が大きくなると思われますが、財調制度の趣旨との関係から、このような状況をどうお考えでしょうか、お伺いいたします。
次に、国、都の今後の財政上の問題点について伺いますが、まず、国は地方分権推進のためと称して、税財源移譲について、いわゆる三位一体の改革を行おうとしておりますが、二十三区は他の自治体と異なり、地方交付税適用団体ではありません。したがって、他の市町村と若干事情は異なるとは思いますが、現行の財調制度のもとでこれが実行された場合、現段階でどのような影響があると想定されているのか伺います。
また、平成十六年度については、国も都も大変苦しい予算を組むとのことでありますが、都も財調交付金について見直しを考えていると思いますし、厳しい財政状況の中で、国の各般にわたっての助成金、補助金、負担金等の減額も予測されると思いますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
次に、長期基本計画の見直しと行財政改革についてでありますが、昨年八月、ご承知のように、江東区の人口が四十万人を超え、今日四十万四千人とのことで、当初見込みより大幅な増になり、今までの計画では実態に合わなくなるのは当然であります。財源も含めて、早急に見直しに着手すべきであると思いますが、区長の基本的な考え方をまずお示し願いたいと思います。
そして、長期基本計画の中でも、今までもいろいろご質問がありましたけれども、少子高齢化について伺います。
まず、少子化ですが、現在、マンション急増地域七地区では、当然、小学生の増加により教室が不足し、その対策については、不十分ではありますが、徐々に業者側の理解を得ながら解決の糸口をつかんできているところであります。しかしながら、問題は山積しております。前にも質問がありましたが、当然、保育園等の幼児対策も必要になってきますが、例えば、保育園の整備や認証保育所との保育料の格差是正について、どのようにお考えか伺います。
次に、高齢者対策のうちの在宅介護の充実について伺います。
人口が増加しないまでも、高齢者福祉施策の充実は急務であり、介護保険制度の導入もあり、在宅にしろ、施設にしろ、充実の方向に進んでいることは、多くの問題は抱えておりますが、ある程度の成果は上がっていることは認めるものであります。さらに、介護保険導入後の三年間の実績を踏まえて見直しも行われたところであります。今後ますます高齢化が進んでいくことはご承知のとおりであり、現在でも特養ホーム、その他の施設が不足しており、在宅でホームヘルパー等の手助けでどうにか介護が行われておりますが、種々の面で苦情が出ていることも事実であります。
これらをしっかり軌道に乗せることは非常に困難であります。しかし、施設と在宅の介護の差が大きく、現在、特養への入所は大変難しく、要介護三以上の方が優先されておりますが、それでも全員が入れず、それだけ待機者が多く、このままではどうにもならなくなるのは必至であります。
そこで、以前より区長の主張にあるとおり、いわゆる施設介護では限界があり、在宅介護に力点を置かざるを得ないとのことでありますが、今後は、さらなる施設介護の要望が強く、区の方針との調整が必要になると思われます。この状況は、今の介護保険制度の中でのヘルパーの質・量にもよりますが、在宅では二十四時間、ヘルパーが専門的に介護しているわけではなく、十分でないことも大きな理由の一つであります。
そこで、提案をいたします。在宅ではどうにもならない高齢者は別として、家庭で家族がヘルパーと一緒になって介護するようになれば、親子の愛情と思いやりのあるきずなが自然に醸成され、よい家庭環境につながると思われます。そのためには、家庭の者がパート等に行かなくても経済的にある程度生活が成り立つような援助を行うべきと思いますが、区長は、施設介護と比較してどうお考えか、お伺いをいたします。
次に、今日までの行財政改革の実績について伺います。区長は、財政白書に基づく財政健全化計画の中で、職員の削減、民間委託の拡充等を目指して相当の効果を上げてきましたが、計画策定時より、十四年度決算を見て数字的に特筆するようなものがありましたらならばお示し願いたいと思います。
また、改革の手法として、十六年度以降も今までのように、職員の新規採用見送り、事業の委託化、行政評価システムの再検討等、その他、何らかの新しい方策をお考えか伺います。
次に、公共溝渠の不法占拠及び官民境界の確定について伺います。
平成十一年、地方分権一括法が公布され、これに伴い、国では国有財産特別措置法を改正し、平成十二年から国有財産である公共溝渠を国から市区町村に譲与することを方針として定めました。この国の方針により、溝渠の管理は自治事務とされ、これまで機能管理だけを行っておればよかった市区町村は、溝渠の財産管理も行うこととされたのであります。
そこでお伺いいたします。現在、譲与手続が進められているとのことでありますが、平成十二年三月時点、江東区内の公共溝渠の面積はどのくらいあったのか。区はそれら全部の譲与を受けるのか。
また、暗渠方式の溝渠には、その上部を不法に使用されているものが見受けられるが、こうした実態をどの程度把握しているのか。私は、不法に占有されている溝渠の大半が下水道の整備に伴い、水路としての機能を喪失してきたところに違法な建築物が建てられ、水路があったかどうかも判然としない状況が生まれ、このため、不法な占有の実態が十分に把握してこられなかったものと考えておりますが、溝渠の財産管理という自治事務が区の事務になることがはっきりした以上、今後、どのように不法占有されている溝渠の適正化を図っていくのか、機能管理だけを行ってきたこれまでとは違った対応が求められると思いますが、区の考えをお聞かせいただきたい。
区として積極的に取り組んでいく考えがあるのかどうか、正直者がばかを見ないように、厳格に、適正に、早急に対処すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、官民境界の確定についてであります。
土地の登記申請などを行うには官民境界確定の有無が重要であり、確定の基礎となるのが区の管理区域を明確にした管理区域線であります。境界確定に必要な管理区域線の測量は区民の財産にかかわる業務であり、区がこれに取り組むことは当然であります。
そこでお聞きいたしますが、この作業は計画的に行われていると思いますが、例えば、城東地区の場合はどのように行われてきたのか。また、現在、どの程度進捗しているのか。この作業過程の中で問題はなかったのか。古い戸建ての家屋の場合、区道にはみ出しているところなど、建築違反の関係はどのように指導をされてきたのか。難しい問題も幾つか聞いておりますが、お聞きいたします。
私の承知している範囲では、長い間未解決のままで、将来的にも官民の境界確定の見通しが立たないところもあるようですが、昨年度の確定件数をお聞きいたします。
また、深川地区においては、区域線の設定がほとんどできていないため、関東大震災後につくられた「震災復興土地区画整理換地確定図」や周辺の境界確定を参考にしながら、道路敷地と民有地との官民境界の確定を行っているそうです。深川地区は境界確定を行うための資料が少なく、広い範囲の測量が必要となり、それだけ境界確定を必要とする方の費用負担も大きくなると聞いております。深川地区の境界確定が現状のやり方で続けていくわけにはまいらない問題であります。今後、いつごろまでに、どのように区域線測量を実施していくのか伺います。
時間超過して大変申しわけありません。
これで終わります。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
20 ◯区長(室橋昭君) 斉藤久也議員のご質問のうち、私からは、財調制度のあり方と新たな問題点並びに国、都の緊縮財政に関する質問にお答えをいたします。
さて、平成十二年度から始まった新たな都区財政調整制度のもと、昨年度並びに本年度財源超過による不交付区が二区発生いたしました。
今回、不交付区になった港、渋谷の両区につきましては、制度改革前であれば、財源超過額について納付金が発生しておりましたが、納付金制度廃止後は財源超過額を自主財源として活用が可能となり、そういう意味では、二十三区横並びの時代が崩れたというご指摘のとおりでございます。
そこで、ご質問の財調制度の趣旨との関係でございますが、従来の納付金制度は、特別区の課税自主権を侵害しているという観点から廃止されたものでございます。したがいまして、不交付区との財源格差が生じている実態はご指摘のとおりでありますが、これは特別区制度改革の到達点の一つであり、やむを得ないものであると考えております。ただ、二区合わせて百億円にも上る事態になったことについては、とまどいを禁じ得ないのも事実であります。
特別区制度改革の趣旨としては、二十三区の自主・自立が求められていたこととあわせて、首都東京を構成する二十三区としての一体性が同時に要請されておりました。地方分権推進の潮流の中で、施策展開の上では各区の独自性が今後ますます発揮されていくものと思われますが、財政的には、各区住民の所得格差の拡大も想定されるところであり、区間格差が生じてくる可能性があると考えております。
次に、国、都の今後の財政上の問題についてのご質問にお答えをいたします。
まず、国庫補助負担金の削減、地方交付税の削減、税源移譲を柱とする三位一体改革の影響についてでございますが、現段階においては、補助金の削減、税源移譲とも具体的な案が示されておりません。しかしながら、本区における十五年度予算の国庫補助負担金は百五十億円余で、歳入の一割以上を占めており、その内容いかんによっては、本区財政に大きな影響が見込まれるところでございます。したがいまして、三位一体改革の実現に当たりましては、国の基幹税の一部の移譲による実質的な財源保障が必要であると考えております。
また、東京都におきましても、現在、第二次財政再建推進プランを策定中でありますが、特別区、また本区におきましても、住民生活への影響、都区間の信頼関係を踏まえた十分な協議と慎重な対応が必要であると考えており、既に区長会会長として都知事に申し入れているところでございます。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(政策経営部長佐藤哲章君登壇)
21 ◯政策経営部長(佐藤哲章君) 私から、長期基本計画の見直し及び行財政改革の成果についてお答えをいたします。
まず、長期基本計画の見直しについてでございますが、現下のマンション建設に伴う人口急増や南部地域における大規模開発を考えますと、現時点で将来人口の予測を長期に見込むことは大変難しいと認識しております。また、計画改訂の裏づけとなる財政計画においても、制度改革時の積み残し案件である主要五課題の問題があることから、計画の見直し作業については、将来人口の捕捉と後期計画の財源見通しをつけた上で、準備に入りたいと考えております。
ご質問のマンション急増対策については、事業者の理解と協力を求めながら、現在、児童・生徒数の動向や普通教室の保有状況、さらには、特別教室の転用といった緊急対応も視野に入れ、学校の収容対策を講じる一方、枝川小学校では増築計画の検討を進めているところであります。
また、保育対策については、地域的な解消が求められる豊洲地区管内において、来年度に向けて保育所整備の緊急対策を検討しておりますが、ご提案の保育料の格差是正については、現在の財政状況を踏まえますと、やはり公私の保育コストや保育料設定の問題など、費用対効果の兼ね合いも含め、総合的に判断していく必要があると考えております。
次に、高齢者対策のうちの在宅介護の充実についてお答えいたします。
介護保険制度は導入後三カ年が経過し、定着しつつあると考えておりますが、施設入所に対する希望が根強いといった課題も明確になってきております。こうしたことから、国では制度の五年ごとの見直しに当たって、社会保障審議会で「在宅重視の方向」を打ち出すとともに、「介護保険三施設のあり方」についても議論が始まっております。
本区の施設整備状況については、現在、特別養護老人ホームのベッド数の確保においては、二十三区中トップレベルとなっておりますが、施設整備を進めても入所希望者は減らず、なかなか入所できない状況が続いていることは、ご指摘のとおりであります。
そこで、本区では現在、施設入所の必要度に応じて「特養ホーム優先入所評価基準」を定め、施設入所の円滑な実施に努めております。一方、国においては、現在、さらなる在宅重視の方針を示していることから、今後、制度の変更があった場合でも速やかに対応できるよう準備してまいりたいと存じます。
また、ご提案の「居宅介護者への経済的援助」については、介護保険制度の本来の趣旨からしても、金銭的給付は困難な状況と考えますが、今後、国の制度の動向やトータルコストがどのように推移するのかを見極めるとともに、都や他団体の状況等総合的に勘案しながら検討してまいりたいと存じます。
次に、行財政改革の成果でありますが、本区におきましては、財政健全化計画に引き続き、財政白書の六つのアクションプランにおいても、職員の削減と民間委託の推進について、行革の大きな柱の一つとして実施してまいりました。特に、学校職場を中心とした業務委託による定員適正化は大きな効果を上げており、平成九年度から十四年度までの六年間で五百七十七人の削減、約百六十億円の財政効果があったと考えております。
今後とも、引き続き行政改革を着実に推進していく考えであり、民間委託を一歩進めた、保育所を含む公共施設の民営化の導入など、新たな発想による行政改革の推進に引き続き努力してまいります。
(土木部長大塚將夫君登壇)
22 ◯土木部長(大塚將夫君) 私から、公共溝渠の不法占拠及び官民の境界確定についてお答えいたします。
法定外公共物である公共溝渠、いわゆる水路は、平成十二年四月に施行された地方分権一括法により、これまでの水路の維持管理といった機能管理に加え、行政財産としての財産管理も基礎的自治体の事務とされました。
平成十二年三月時点で、区内には二百四路線、延長一万四千九百十二メートル、面積約二万四千六百二十三平方メートルの溝渠がありました。法定外公共物の地方自治体への譲与方針に基づき、区では公共溝渠として機能している五十路線、面積で約七千平方メートルを引き継ぐこととし、平成十二年度から順次、底地所有権の譲与を受けてまいりました。
一方、水路としての機能を失っている百五十四路線については、従来、管理業務は区が行っておりましたが、平成十七年三月をもって、当業務は国に返すことになります。
ご指摘のとおり、溝渠の上部にエアコンの室外機や物置を置き、また、上空にひさしやベランダを設ける、家への出入り通路とするといった現状があり、これまでの調査では、これらの不法に溝渠を占有されている面積は約三千三百平方メートルとなっております。
今後、区では五十路線の水路に限定して管理をしていくことになります。これらの溝渠は下水道の整備に伴い、水路としての必要性は低下しております。このことから、汚水などがたまりやすく、蚊などの発生原因ともなっている溝渠を廃滅し、同時に、不用となった土地は溝渠地先の土地所有者に払い下げすることを基本方針として、今後、適正化を進めてまいりたいと存じております。今年度は払い下げの希望がある地区を対象に、払い下げ希望の意思確認、溝渠利用者の排水設備の切り回し費用の負担といった問題点を検討するための意向調査を実施してまいります。
次に、区道の官民境界確定についてであります。境界確定は土地の分筆、土地の売買、建築行為等の申請、施工に当たって必要とされ、お互いに接する土地所有者双方による費用分担、立ち会いのもとでの確認を経て初めて確定するものです。
官民境界の確定は、官地と隣接する土地所有者からの申請により行いますが、双方立ち会いの際、もとになるのは区が管理する道路等の管理区域線であります。
区では臨海部を除く城東地域を二十九ブロックに分け、平成元年より平成十二年までの十二年間をかけ、総額約五億円を投入し、順次、管理区域線の測量調査を行い、管理区域線を設定してまいりました。
これにより、城東地域では比較的容易に官民境界確定が行われるようになりました。また、官地を侵している家屋等については、建て直しをするときに境界に沿った建築を計画するよう指導することもできるようになりました。
一方、深川地域はご指摘の通り、「震災復興区画整理換地確定図」などを参考にしながら、官民境界の確定を行っております。このため、境界確定に必要な測量を広範囲に行わなければならならず、境界確定申請者は城東地域と比較すると、倍ほどの測量費用をかけていると思われます。
平成十四年度、区有地との官民境界確定は百十件を超えて行われましたが、地域により、境界確定費用に差が生じることは好ましいことではございません。さらに、境界を明確にすることにより、日常時での適切な施設管理、そして、災害時の早期復旧が可能となります。このことから、区の財政状況を勘案しながら、実施されていない地域での管理区域線の具体化を検討してまいりたいと存じております。
──────────────○──────────────
23 ◯議長(榎本雄一君) おはかりいたします。
議事進行上の都合により、暫時休憩いたしたいと存じますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
24 ◯議長(榎本雄一君) ご異議がないものと認めまして、暫時休憩いたします。
午後三時八分休憩
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午後三時三十二分開議
25 ◯議長(榎本雄一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
──────────────○──────────────
◎ 会議時間延長の件
26 ◯議長(榎本雄一君) この際、本日の会議時間を延長いたしておきます。
──────────────○──────────────
27 ◯議長(榎本雄一君) 一般質問を続けます。
二十七番秋田茂夫君。
(二十七番秋田茂夫君登壇)
28 ◯二十七番(秋田茂夫君) 大綱四点についてお聞きいたします。区長並びに理事者の明快なる答弁を求めます。
質問の第一は、地域社会の変化に対応できる災害対策についてであります。
本年も宮城地震が発生し、常に災害は隣り合わせに存在すると実感した次第であります。「災害は忘れたころにやってくる」に対して、「備えあれば憂いなし」と、いつ起こるやもしれぬ事態も生じ、「災害は進化する」とも言われております。
際限のない災害の拡大に対し、時には無力を感じるかもしれませんが、だからといって、手をこまねくわけにはいきません。進化するという災害に対するには、高齢社会やまちづくりなど、地域社会の変化に対応するための災害対策を臨機応変に見直しをしていかなくてはならないと考えます。
そこで、初めに、高齢社会における災害対策についてお伺いします。大規模震災の発生においては、区、防災機関とも地域の方々との連携が不可欠であり、地域防災に対しては、災害協力隊の編成とその活動の協力に期待しているところですが、最近、災害協力隊の高齢化が問題になっております。特に、公営住宅などでは高齢化が著しく、救助に回る人より救助される側の人の方が多く、その活動も編成も困難であると訴えられており、震災の際に救援体制が機能せず、公営住宅地域が孤立することも考えられ、公営住宅の年齢構成の平均化が簡単に進まないことを考えれば、近隣地域との交流がぜひとも必要であります。区は公営住宅とその災害協力隊の年齢構成の実態を早急に調査し、隣接地域と一体となった機能できる地域防災体制を整備すべきと考えますが、その方針をお持ちでしょうか、伺います。
また、高齢者を初めとした災害弱者の対策については、災害協力隊に対して、同じ地域に住む人間として、自然に交流を深めていくコミュニケーションづくりや近隣住民の理解の促進などを指示しています。また、防災カルテの調査については、プライバシーを優先している傾向があるなど、対策が抽象的で、かつ災害協力隊任せとも言えるようで心配です。地域住民の連携が希薄となりがちな今日では、区が積極的に情報や調査の交流において、災害協力隊と近隣住民とが日常的な触れ合いができるようリードすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、社会福祉施設等の安全対策について伺います。
本区には特別養護老人ホームや障害者施設など、高齢者や障害者を抱える施設がふえており、これらの施設の災害に対する対応力強化や職員の意識向上が望まれます。施設内だけではなく、家庭や地域と連結した防災対策が必要で、防災スタッフを社会福祉施設に派遣して防災講座を実施している自治体があると聞いております。また、高齢者や障害者の避難生活では、食事や入浴などの特別な設備や配慮が必要で、福祉救援活動の支援組織や地域福祉施設を「福祉避難所」とすることなどの対策強化が望まれますが、区はどのような対策と方針をお持ちなのか伺います。
次に、民間マンションも含め、集合住宅の住民が七五%を超えたり、亀戸や東陽町など昼間人口の多いオフィス街などが出現したきた本区まちづくりの変化に伴う災害対策について伺います。
多くの民間マンションは町会組織に参加しており、災害協力隊の範疇にありますが、現実にはマンション居住者の防災意識は低いのではないかとの指摘もあります。マンション急増の折から、これら個々の住民の防災意識の向上や災害救助活動への参加は本区にとっても重要であり、区の積極的な関与が望まれますが、いかがでしょうか。
また、本区は災害時に企業等の民間団体との協定は進められていますが、さらに多様な民間との協力協定を結んでいくべきと考えます。一方、オフィス街化した地域での企業の自発的な地域防災活動の現状はいかがでしょうか。近隣の企業同士が「隣組」をつくり、災害時の対応マニュアルの作成や食料備蓄を進めている地域もあると聞いています。オフィス街防災に対しても、責任ある基礎的自治体としての本区の取り組みをお聞きします。
また、阪神淡路大震災など大規模災害などで、地元の事業者が避難所に食料を届けたり、災害ごみの後片付けをするなど、企業の地域住民への貢献が重要視されています。本区にはこれまで、大規模開発に伴い、大型民間施設が建設されてまいりました。大規模開発は当然、地域住民から見ると、防災広場の拠点にとの観点もあり、進出したスーパーなどの大型施設には防災時に一定の協力を願うべきと考えます。特に、スーパーには衣食料と広いフロアーがあり、災害時に地域避難所としてのその機能を十分発揮できる立場にあります。区はこれまで進出した企業やこれから進出してくる企業に対して、積極的に災害協力協定を結んでいくべきと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
質問の第二は、母子家庭への就労等による自立支援と保育施策について伺います。
我が国の平成十四年度の離婚率は二・三%で、離婚件数とともに最高となりました。また、本区の離婚件数も、平成十四年度は一千八百一件となり、平成七年以降、増加を続けております。母子家庭となった母親は、その後の当面の生活にとまどいを覚えます。このとまどいを受けとめる自立支援の窓口が必要です。現状は児童課、保育課、生活保護課などが、それぞれの支援体制になっています。
佐賀市では、母子家庭になったときに一階のフロアーですべての届け出ができる配置になっておりました。本区においても、二階のフロアーを有効に活用し、母子家庭となったときの当面の自立を支援していく窓口を開設するべきと考えますが、区のご見解をお聞かせください。
本年、母子家庭の自立を後押しする就労支援特別措置法が施行され、児童手当制度も見直しをされました。手当よりも就労による自立を願う母親には、積極的な支援が求められます。現在、クリーニング店の「喜久屋」は、女性の自立を支援するNPO法人「Wink」と提携してシングルマザーを直営店のオーナーに起用して注目を集めております。研修費や営業権、譲渡金を免除し、加盟金や保証金の分割払いも受け入れており、パートでの不安から身分も収入も安定し、何よりも経営を任されるというやりがいが好評です。さらに、住宅のあっせんや保証人支援でシングルマザーの自立を支援しています。
教育訓練、技能訓練、企業への雇用奨励金などを実施する就労支援特別措置法を活用し、母子家庭への理解ある企業を募り、人材を派遣するなど、きめ細やかな動きのできるNPO法人を育て、協力し合い、母子家庭への就労支援を区として実施すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
母親が就労のために抱える問題の一つが、子どもの保育所入所です。「仕事を探したくとも子どもが預けられない」との声が多く聞かれます。本年四月一日現在の保育所待機児童は百四十九名、うち十名が母子世帯でした。現在の保育基準に母子の指数も入っておりますが、明確に母子家庭枠を設け、母子家庭の子どもについては認可保育所に入所させることが望まれます。やむを得ず認証保育所に預けている母子家庭に対しては、保育料の助成を行うべきと考えますが、区のご見解をお聞かせください。
また、母子生活支援の塩浜荘は応急措置的施設であり、自立を促すためにも、都営住宅募集に母子家庭を優先するポイント方式があるように、区営住宅においても母子家庭枠を設けるべきと考えます。
今般、三菱製鋼跡地の公団内に保育所が開設されました。この保育所、定員に対し三倍の応募で、本区の待機者数の約半分が豊洲管内に集中しております。この豊洲地区における緊急対応策がさらに求められておりますが、区はどのような方策をお持ちなのか伺います。
本区の保育定員数は入所者数を二百四十六人上回っておりますが、待機者が出現する大きな要因は、地域格差、年齢格差にあると言われております。十六年度待機児童ゼロを目指して保育施設の開設の努力をされておりますが、それだけではこの格差を埋めることはできません。この二百四十六人枠で低年齢児の受け入れを調整すれば、待機児解消が進むのではないでしょうか。
また、お隣の墨田区では、すべての区立保育園で一時預かりを始めました。この一時預かりは、その家庭に事情が出現したときには、どうしても預かってもらいたいものです。これに対応するため、本区においても、この一時預かりを区立保育園より実施し、区立保育園の柔軟な対応とやる気を区民に示すべきと考えますが、区の見解を求めます。
質問の第三は、環境教育についてであります。
初めに、小中学校における環境家計簿の実施についてお伺いします。
昨年、南アフリカで開かれた環境・開発サミットでは、個人レベルでの生き方や地域における行動が地球規模の環境問題を打開するキーポイントであることが改めて確認されました。また、二〇〇三年度版の「環境白書」では、足元からの行動が重要であるとして、「地域社会から始まる持続可能な社会への変革」をメーンテーマに掲げ、「地球環境力」という新しい概念を使って、足元からの環境保全運動の重要性を強調しています。
川口市では、市民グループ「川口市民環境会議」の呼びかけで、市の協力も得て、一年に一日、「市内一斉エコライフデー」を設け、地球温暖化防止に取り組んでいます。平成十三年度は市内の小、中、高生を中心に約一万人余りが参加し、「一日、環境のことを考えて生活する」ことで二酸化炭素の排出量を減らし、その成果を集計するという試みを行いました。いわば、一日版環境家計簿の実施であります。その結果、二酸化炭素換算で約一・八トン、石油換算でドラム缶三・五本分の削減効果があったと報告されています。このように、環境家計簿への取り組みは、私たちの足元からの着実な環境教育となっています。
ところで、環境家計簿運動については、親から子へというのが本来のありようでしょうが、実情では、親が子に環境教育をするのは難しい状況にあります。最近の電力会社のコマーシャルでも、子が親に注意をしているものがあり、ほのぼのとしております。このことからも、子から親への環境の取り組みの方がより一層効果があるように思います。よって、本区の小中学生に子から親へと環境家計簿の運動が進むよう教育すべきと考えます。
川口市の「市内一斉エコライフデー」は格好な運動と考えますが、あわせてお聞かせください。
また、児童・生徒の環境教育には、体験の場づくりが有効と思います。特に、ビオトープは生命の誕生を体験できる感激性を伴い、生命の尊厳とやさしさを身につけることは教育の根本であると考えます。
そこで、本区の環境学習としてのビオトープづくりの現状についてお伺いします。また、区はこのビオトープの教育的効果について、どう評価しているのか。私は、全小中学校で実施すべきと考えますが、区の今後の取り組みについてもお伺いいたします。
また、若洲の風力発電施設の整備が発表されています。この風力発電施設は日本一の規模ということですが、単に電力量をはかるためでなく、クリーンエネルギーとしての環境教育の場としても大きな期待が寄せられております。この風力発電施設を本区小中学生の環境教育の中にどのように取り入れようとしているのか。また、児童・生徒が楽しく、夢の持てる内容のある施設とし、本区が環境教育の先進区として位置づけられるためにも、充実した施策が望まれます。具体的なお考えをお尋ねします。
質問の第四は、南部地域のまちづくりについてお伺いします。
一点目は、今秋運行されるコミュニティバスについてであります。この地域の住民にとって、コミュニティバスは長年の願望であり、今回の運行実施には多くの喜びの声を聞いております。いかにこの事業が期待されていたか、今さらのように実感いたします。区当局の努力に対し、高く評価をいたします。
そこでお聞きします。運行は十月に予定されておりますが、都交通局や陸運局の運行開始に対する許認可などの手続などの見通しをお伺いします。
私は、南部地域の島と島との交流と高齢者の公共施設利用への外出の機会をふやすことなどからも、コミュニティバス運行を訴えてまいりました。今回の路線は木場駅と潮見駅、港湾住宅、辰巳団地等を回るコースと聞いており、一応、地域住民の要望にこたえられるものと評価します。しかしながら、この事業を継続並びに発展させるためには、今後、豊洲、東雲も南部地域の主要交通拠点となっていることからも、この二地域への路線拡大についての区のお考えをお尋ねします。
なお、十月運行開始と間近でありますが、その周知についてもお伺いします。
二点目は、コミュニティ施設の整備についてであります。現在、この地域においてのコミュニティ施設は、保育園、教育施設を除いて豊洲文化センター、東雲図書館、辰巳児童館のみであり、従前より、豊洲、東雲、辰巳においては、コミュニティ施設の不足が指摘されております。ここ数年、大規模開発に伴い大幅な人口の増加となってきました。公共施設整備が要望されております。今までの住民と新住民となられた方や、これから新住民となろうとしている方々の交流と、南部地域のコミュニティ形成の確立をさらに図るためには、文化福祉施設をあわせたコミュニティ施設を整備すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
三点目は、豊洲、東雲、辰巳、砂町運河にかかるサークル橋の建設についてであります。私は、南部地域は島と島を橋で結んだ地域であり、この地域住民にとっては橋の存在が重要であることから、豊洲、東雲、辰巳、砂町の四つの運河にかかるサークル橋の建設を強く訴えてまいりました。豊洲、東雲、辰巳、枝川の四つの地域がこの橋で結ばれることにより、生活利便施設、レクリエーション施設のアクセスや災害時の避難経路の確保としての役割、そして、各地域との交流促進が一層進み、地域活力向上が図れます。このサークル橋の必要性と建設の実現について、区当局にお尋ねします。
四点目は、「夢の島いこいの家」の今後の計画とその周辺事業についてであります。「夢の島いこいの家」はドリームアイランド計画の中では、温浴施設ができることに伴い廃止されていましたが、ドリームアイランド計画の中止に伴い、「夢の島いこいの家」の今までの方針にも変更があるのか、廃止なのか、改修をして存続するのかお尋ねします。
また、現在の「三宅村ゆめ農園」について、今後の事業計画があるのかお尋ねします。
「夢の島いこいの家」とその周辺は、長年の清掃埋め立てに対する本区住民の犠牲を思えば、ドリームアイランド計画を中止したとはいえ、区民の健康、スポーツ、レクリエーションゾーンとして区民に提供されるべきです。
私どもは以前から、小動物公園など、子どもからお年寄りまで多くの区民が憩える場として夢の島地域の整備を訴えてまいりました。ドリームアイランド計画の中止により、この地域が放置されることは許されません。区は新たな計画を立てるべき段階に来ていると考えますが、お尋ねいたしまして、以上で質問を終わりにいたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
29 ◯区長(室橋昭君) 秋田茂夫議員の質問のうち、私からは、地域社会の変化に対応できる災害対策についてのご質問にお答えをいたします。
高齢社会では当然のことながら、高齢者世帯やひとり暮らし高齢者が増加し、地震等の災害時におきましては、特に迅速な救援・救護が求められることになります。
そこで、ご質問の公営住宅における災害協力隊員の高齢化の問題でございますが、現在、公営住宅のみならず、区内全域で住民・隊員の高齢化が進行いたしております。したがいまして、高齢化は避けて通れない課題であり、このような状況の中でも、積極的に協力隊の活動を支援していただく隊員の育成が必要でございます。
今後、リーダー講習会等を活用したリーダー育成や、近隣災害協力隊との合同自主防災訓練を奨励するとともに、協力隊との意見交換の場を設けるなど、近隣住民との交流を支援してまいります。
また、毎年実施しております災害協力隊編成調査を改善し、隊員の年齢構成の実態把握にも努めてまいりたいと存じます。
次に、災害要援護者への対策であります。確かに、防災カルテ作成に当たりましては、プライバシーへの配慮が必要でございます。ある災害協力隊では、本人や家族に対し、自主登録を積極的に働きかけ、百六十五名が防災カルテに登録されている例もございます。今後とも未作成の災害協力隊に対しまして、自助の観点から、防災カルテの作成を積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
次に、福祉施設での対応力強化等についてでございますが、特養ホームにつきましては、施設開設時に地元町会と災害活動応援協定を締結いたし、災害時における救出・救護活動等の相互協力体制を構築し、地域との連携に努めているところであり、今後は、他の福祉施設につきましても強化を図ってまいります。また、各施設での定期的な防災訓練の実施など、実践的な対応力強化の指導にも努めてまいりたいと存じます。
さらに、区内の十六の福祉施設等を二次避難所として指定しており、災害要援護者が安心して避難生活ができるように配慮いたしております。
次に、マンション居住者の防災意識についてでございます。
近年、区内にはマンションの建設が著しく、町会・自治会活動への不参加、災害協力隊未結成などの例が多々見受けられます。しかし、中には町会組織に参加して、その町会の同意のもと、マンション内自主防災訓練を実施している例もございますので、行政としてマンションの自主的活動に対する支援や相談にも積極的に応じてまいりたいと存じます。
次に、災害時の民間団体との協定ですが、現在、民間二十三団体との間で災害時協定を結んでおりますが、これをさらに推進してまいります。
また、去る九月二日、三日、庁舎周辺企業の社員を対象に、震災対策啓発事業を実施したところでございますが、今後、消防署等との役割分担に配慮しつつ、企業との連携を図ってまいります。
大規模小売店につきましては、阪神淡路大震災の際、その素早い営業開始が多くの在宅被災者を救ったように、必要な物を必要なときに購入できる物資の確保は、復旧・復興の基本でもございます。
したがいまして、大規模店との協定については、早期営業開始、生活物資の適正価格販売等を盛り込んだ内容を踏まえまして、当該店の災害時営業対策等の意向も考慮しながら検討してまいります。
また、大規模小売店の避難所としての位置づけは、現状では物資供給機能が最優先されるものと判断しておりますけれども、営業との関連から、今後調整を図ってまいりたいと存じます。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(子ども生活部長岩上英彦君登壇)
30 ◯子ども生活部長(岩上英彦君) 私からは、母子家庭への就労等による自立支援と保育施策についてのご質問にお答えいたします。
まず、母子家庭に対する相談体制でございますが、国では母子相談員を母子家庭に対するきめ細かなサービスの展開と自立の支援を行うための総合的な相談窓口と位置づけております。
本区におきましては、現在、保護第一課及び保護第二課に、それぞれ一名の母子相談員を配置し、経済上の問題や児童の就学、あるいは就職の問題、住宅問題など、その世帯の自立に必要なさまざまな問題の解決に向け、助言や各種情報の提供を行うなど、総合的な相談窓口として重要な役割を担っているところでございます。当面、この体制のもとで母子家庭に対する相談に対応してまいりたいと考えておりますので、ご提案の二階フロアーを活用しての窓口開設につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。
次に、母親の就労支援のためのNPO法人の育成と協働についてでございますが、八月に成立しました「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法」では、母親の就労機会をふやすための施策を打ち出しております。この中で、母子家庭の母親が働いている福祉団体や法人、NPOの受注の機会の増大が図られるよう、こうした団体等への受注を配慮するよう定めております。
本区といたしましては、ご質問にあります具体的な事例を調査・把握するとともに、他の自治体の実施状況を参考にしながら、本区における母子家庭の母に対する就労支援の具体策を検討してまいりたいと考えております。
次に、母子家庭の保育所入所についてでありますが、現在、ひとり親家庭で認可保育園に入所している子どもは約七百六十人で、これは全体の一五%に当たります。ご質問にありますように、実施基準上、優先的な入所には配慮しているところであります。母子家庭枠をとのお尋ねでありますが、指数による現行の方法には弾力性、実効性があり、不公平感も生まれないものと考えております。
また、保育料の助成につきましては、母子家庭だけではなく、全体の認可、認可外施設の保育料のあり方の中で検討してまいりたいと考えております。
次に、住宅支援策でございますが、離婚直後に住宅問題が発生することが多いため、母子生活支援施設の塩浜荘を初め、都営住宅の母子アパートやポイント方式による入居の相談に当たっております。ご質問の区営住宅にポイント方式を導入することにつきましては、区営住宅の募集戸数が少ないため、現段階では技術的に困難な状況にあると認識いたしており、今後の課題とさせていただきます。
次に、豊洲管内における待機児の解消策についてでありますが、ご指摘のとおり、本区の待機児の約半数が豊洲管内に集中しており、この地域の解消を図らない限り待機児解消は不可能であり、緊急対応が必要であると考えております。
そこで、豊洲管内に十六年度中に認可保育園を整備する方向で検討を進めており、今年度中に着手したいと考えております。
また、保育定員と実際の入所者数との差でありますが、これは認可園における四、五歳児及び認可外施設における欠員によるものであります。認可園の欠員は各園に分散しており、また、認可外施設には、低年齢児の受け入れが可能でありますが、地域的には豊洲管内に施設が少ないという事情があるなど、シフトは容易でない実情にありますので、今後の施設整備の中で地域、年齢のバランスを考慮してまりたいと存じます。
次に、緊急一時保育についてでありますが、本区では区立保育園、私立保育園全園及び保育室等の全園で緊急一時保育を実施いたしておりますが、区立保育園のより柔軟な対応につきましては、今後検討すべき課題であると考えております。
(学校教育部長高橋三喜男君登壇)
31 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、環境教育についてのご質問にお答えいたします。
まず、小中学校における環境家計簿の実施状況につきましては、ご指摘のとおり、「地球環境力」という概念のもと、足元からの環境保全運動として各地で活発に取り組まれていると認識しております。本区におきましても、学校における子どもたちの活動を区内各家庭や地域に広げていくことも、また環境教育全体にとって重要であると考えております。
現在、本区小中学校におきましては、地域社会と連携した清掃活動や自然観察、水質調査、リサイクル運動、栽培活動など、それぞれの学校で特色ある環境教育が実践されております。これらの活動は総合的な学習の時間等の中で、横断的、総合的な取り組みとして行われております。今年度、エコリサイクルハウスと連携し、環境家計簿の学校教育における活用についても検討するとともに、来年度は砂町小学校、深川第二中学校を環境モデル校に指定し、環境家計簿も含めた、より総合的、実践的な環境教育を推進してまいります。
川口市の「市内一斉エコライフデー」は市民グループの呼びかけからの実践でありますが、今後は関係機関と連携をとりつつ、各学校での実践が地域ごとのエコ運動や一日クリーンデーの実施へと発展していくよう取り組んでまいります。
次に、ビオトープづくりの現状についてですが、現在、区内公園に十三カ所、学校では、本年度設置の第二辰巳小学校、亀高小学校の二カ所を含め、十九カ所が設置されております。ビオトープは自然に親しみ、植物や動物を育て、世話をすることによって、子どもたちの命を大切にする心を育むという観点からも、その教育効果は大変意義深いものであると考えております。今後も設置について、関係機関と連携しつつ推進してまいりたいと考えております。
三点目の風力発電施設と環境教育についてお答えをいたします。
この若洲風力発電施設の建設は、平成十五年度中の稼働を目指して進行しております。年間の発電予定量が約三百五十万キロワットアワーと見込んでおり、これを二酸化炭素に換算いたしますと、約一千二百五十トンとなり、本区の自然環境を生かしたクリーンエネルギーの象徴とも言えるものであります。この発電施設の建設に伴い、若洲海浜公園内に発電や環境問題についての説明パネルの設置を計画中であります。加えて、ソーラーパネルや風のオブジェなどを配置し、公園を一周すると環境問題や風力利用について理解ができるなど、本区の環境対策事業の一環として区民に環境教育の場を提供し、その意識の啓発を進めていくことを目的としております。家族で訪れる子どもたちの環境教育の場として、あるいは、区内外の小学校の社会科見学の際に、実際に子どもたちが訪れて巨大な風車を体感することなど、さまざまな環境教育の場面での活用がこれからも考えられます。
全国的にも特筆できるこの施設について、二十一世紀の夢のあふれる内容とするとともに、区内各学校への紹介を行ってまいります。また、環境教育指導資料への掲載や教職員の研修にも取り入れる等、環境教育の充実と推進に取り組んでまいりたいと思います。
(土木部長大塚將夫君登壇)
32 ◯土木部長(大塚將夫君) 私から、南部地域のまちづくりについてお答えいたします。
まず、ご質問の、本年度試行運行を予定しているコミュニティバスでありますが、本区の中でも交通不便の度合いの高い南部地域について、事業効果を調査検証するために、三カ月間に限り実施するものであります。
運行開始時期の見通しについてのお尋ねでございますが、現在、陸運局に運行認可を申請中であり、十月下旬の開始を目途に準備作業を進めているところであります。
今後の豊洲、東雲地域への路線の拡大につきましては、今年度に試行運行した結果を受けて、来年度にコミュニティバス事業の実施の可否を判断する中で、あわせて検討いたしたいと考えております。
また、試行運行の周知につきましては、実施時期が確定した時点で、広報等により周知の徹底を図るとともに、地元町会・自治会にもPRに努める所存であります。
次に、南部地域における文化、福祉などコミュニティ関連施設の整備についてであります。
まず、同地域における今後の公共施設整備計画としては、豊洲五丁目市街地再開発地区で「子ども家庭支援センター」が、枝川三丁目で痴呆性高齢者グループホームを併設した老人保健施設が、また、東雲地区では、民間法人による特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンターなど、高齢者のための複合施設が予定されております。
一方、ご質問にありますように、南部臨海地区においては、今後、大規模な開発が予定されており、とりわけ、豊洲地区においては、豊洲公園及び海上公園、駅前にぎわい広場、ドック周辺ウォーターフロントなど、近隣住民と来街者が利用できるレクリエーションスペースや親水空間も盛り込まれているところであります。
ご提案のコミュニティ施設の整備につきましては、これらの開発計画の進捗や居住人口の動向等にも留意しながら、今後の南部地域のまちづくりにふさわしい施設のあり方について検討を進めてまいりたいと存じます。
次に、サークル橋の建設についてであります。河川や運河を挟んだ地域の人、物の交流を活発にし、にぎわいのあるまちをつくる上で、橋は不可欠な施設の一つであります。南部地域では大規模な開発が進行中であり、交通利便性や防災性を高める上でも、四島を結ぶサークル橋の整備は魅力ある提案であると認識しております。
しかしながら、取りつけ道路の確保、航行船舶との調整、耐震護岸との整合、とりわけ、工事費の確保など、課題も多くある現状でございます。
したがいまして、今後、まちづくりの動向や技術的な側面などから慎重に検討を重ねてまいりたいと存じております。
最後に、「夢の島いこいの家」とその周辺地域の今後のあり方についてであります。
まず、「夢の島いこいの家」でございますが、ドリームアイランド計画が中止となった現状では、同施設の単独改修は財政上から見ても難しいと考えております。また、隣接する旧清掃工場跡地は、現在、警察、消防が訓練所として暫定利用しており、同じく「三宅島ゆめ農園」については、帰島までの間、継続して事業が実施されるものと聞いております。
したがいまして、「夢の島いこいの家」につきましては、当面は当該施設を維持しつつ、今後の対応につきましては、議会とも十分協議してまいりたいと存じます。
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33 ◯議長(榎本雄一君) 三十二番菊池幸江君。
(三十二番菊池幸江君登壇)
34 ◯三十二番(菊池幸江君) 日本共産党江東区議団を代表し、大綱三点について伺います。
第一は、きめ細かな教育の推進についてです。
いじめ、不登校、学力の低下、学級崩壊など、子どもたちにかかわる深刻な状況を何とか打開しようと、教育関係者を中心に奮闘されているところですが、こうした課題の解決に向けて、少人数学級を実施する自治体が全国で急速に広がっています。学級の上限を三十五人とするなど、何らかの形で少人数学級に踏み出した自治体は、全国で二十九道府県と半数を超えました。名古屋市、仙台市など、基礎的自治体での独自の取り組みも十自治体に広がっています。導入の理由として挙げられているのは、「基礎学力の向上ときめ細かな指導」「いじめや不登校の防止」など、ほとんどの自治体で今日の教育課題への効果が期待されています。こうした自治体の動向について、区教育委員会はどのように受けとめておられますか。まず伺います。
学級編制についての区教委のこれまでの見解は、学習指導は教科によって少人数授業を行うが、生活指導は一定の規模が必要だとして四十人学級が適当だとされています。しかし、少人数学級を実施した自治体からは、「集団生活への適応を図る個別指導がやりやすい」「友達が早くできる」「生活や学習の約束事について、個を大切にして指導できる」など、生活指導でも少人数学級が効果的であることが報告されています。
千葉県では、小学校低学年など基礎的学年では、生活と学習の集団を分けることは弊害が大きいとして少人数学級に踏み切っています。生活指導にも少人数学級が効果的との実施自治体の報告をどう受けとめていますか。
また、「人格の完成」を目的として行われる教育活動では、生活指導と学習指導は切り離せないものと思いますが、あわせて見解を伺います。
中教審答申では学級規模について、「教員一人当たりの児童・生徒数を欧米並みの水準に改善する」と、その必要性を挙げながら、どうするかは都道府県に任せると責任を押しつけています。予算支出はふやさずに地方財政のやりくりで済まそうとする政府の姿勢は許せません。国の責任で少人数学級編制を基本とした教職員配置を求めるべきです。
また、教員採用を行う都に対し、直ちに少人数学級編制に踏み出すよう求めるべきと思いますが、伺います。
江東区ではこの間、ティームティーチング、少人数指導などで教員を加配し、教員配置では一定の努力をしています。しかし、私の調べたところでは、区内の小学校五百十九学級のうち、五五%の二百八十六学級が三十人以上、三十五人以上の学級は百二十四学級、二四%もあります。中学校では、二百八学級のうち三十人以上の学級は約八一%、百六十九学級となっています。個を大切にし、行き届いた教育を進めるためにも、区として三十五人以上の学級には加配をするなど、一定の基準で対応すべきと思いますが、見解を伺います。
次に、学習支援教員の配置について伺います。
座って話が聞いていられないなどのADHD(注意欠陥多動性障害)、特定の学習能力が欠けているLD(学習障害)などの子どもたちは、適切な援助をすることで集団生活も十分できるようになることが実証されています。「小学校三、四年生までの援助がかなめ」とされていますが、文部科学省では「障害」と認めていないため、普通学級に所属しているにもかかわらず、支援にあたる教員が配置されません。一人の担任では到底対応できず、時として授業が成り立たない場合もあると聞いています。政府に支援教員の配置を求めるとともに、当面、区の行っている学習支援教員については、診断が確定しない子どもたちを含め、学校の要請にこたえられるよう増員を求めます。いかがですか、伺います。
次に、二学期制についてです。七月三十一日付で検討委員会の中間報告が出されました。ことし四月から中学校モデル校四校での試行が始まり、まだ一学期のテストも終了していない時期に中間報告、さらに、秋には最終報告というのでは、余りにも拙速ではありませんか。学校運営のサイクルからしても、少なくとも一年間の経過を見るべきです。秋に予定している最終報告は延期すべきと思いますが、まず伺います。
二学期制導入の目的は、試験や始業式などの行事を減らすことで授業時間を確保し、「ゆとり」ある教育活動を進めると説明されています。しかし、一方では、「学習意欲の低下を招くのではないか」「指導の継続性が中断されるのでは」など、教育にかかわる大変な問題がデメリットとして指摘されています。教育に「ゆとり」がなくなっている原因は、詰め込みの学習指導要領の押しつけや、子どもたちを過酷な受験地獄に追い込んでいる教育行政にあります。これらの問題解決の努力なしに、小手先のやりくりで授業時間を確保しようとしても、子どもたちや学校現場に取り返しのつかない混乱を持ち込むことになりかねません。
中間報告では、小学校、幼稚園での実施をも前提に「理解を求める」「説明をする」「不安を解消する」などとしていますが、説明をして済む問題ではありません。教育行政の押しつけはやめるべきです。教職員を初め、保護者、子どもたちの意見を十分に聞く場を持ち、実施の是非を含めて検討すべきです。伺います。
質問の第二は、介護保険事業についてです。
特養ホームへの入所希望者が一千五百人に迫る中、新たな入所基準に関する通知が届けられました。入所できる日を待って頑張って介護を続けている家族に、改めて期待と不安が広がっています。入所希望者に優先順位をつけるということですが、点数の高い介護度三以上の希望者は、ことし三月時点でも八百五十三人、そのうち痴呆が六割という待機状況に対して、区の計画では、今後五年間で二百床しかふえません。そもそも施設が足りないのであって、基準をつくって振り分けられる人数ではありません。介護保険導入前、区報では「ホテルを選ぶようにサービスを選択できる」と宣伝されました。要望にこたえるのは保険者の責任です。特養ホームの計画数を大幅に見直すべきと思いますが、見解を伺います。
また、基準では、痴呆の点数が十点、特別な配慮を加えても二十点の加算で、介護度一、二の痴呆の人ははじき出されてしまいます。痴呆は認定そのものの判定が依然として低く、二十四時間の見守りが必要なのに、改定された認定ソフトで介護度が三から二に下がった例もあります。徘徊、虐待など放置できない深刻な例が数多くあり、家族の心労も耐えがたい状況に置かれています。徘徊や問題行動などの痴呆には、さらに点数の加算を盛り込むべきと思いますが、見解を伺います。
次に、痴呆性高齢者の居住の場として期待が高まっているグループホームについて伺います。一見、わけがわからない言動をすることから、これまで施設ではやむを得ず、薬漬けやベッドに縛りつけるなどの対応が当たり前とされていました。しかし、行動の理由を理解し、支援することで、もてる能力を引き出し、人生を楽しんで集団生活を送ることができるという実践が数多く生まれています。東京都は、グループホーム建設のため都有地を提供しています。区内にも五カ所あり、この活用を含め、区として建設費の補助や新たな用地の確保などを行い、グループホーム建設に支援をすべきと思いますが、伺います。
次に、在宅サービスの利用料減免についてです。
江東区の行った調査では、多くの高齢者は施設に入所するより住みなれた自宅で暮らすことを望んでいます。しかし、介護度が高いほど家族の心身の負担が大きく、二割の人がもっとサービスを使わせたいと考えているにもかかわらず、介護保険の利用は依然として限度額の五割にとどまっています。少しでも負担を減らそうと必要なサービスも我慢しては、家族は疲れてしまい、要介護者の回復も望めません。江東区は利用料減免を行っていますが、東京都の制度の活用のみで、住民税非課税者が七割を占める区の実態から見れば、全く不十分です。利用料減免を拡充し、サービス利用の向上を図ることは区民の願いにこたえるものであり、介護保険の目的にも沿ったものと考えますが、見解を伺います。
次に、保険料の減免について伺います。
昨年の決算では保険料未納で会計処分された人が八百八十二人、そのうち二百七十四人は保険料第一、第二段階で、生活困窮による未納と聞いています。未納者には自己負担分の引き上げ、支給制限などのペナルティーがあり、実質、介護は受けられないことになってしまいます。そもそも税金も免除されている住民税非課税世帯に保険料を払えというところに無理があり、多くの区が第二段階を中心に減免制度をつくっているのも、こうした事態を救済するためではないでしょうか。生活困窮者に対し、保険料の減免を拡充し、行政サービスを公平に提供できるようにすることは区の責任と思いますが、伺います。
次に、住宅改修についてです。
住宅改修は、在宅での生活に待ったなしの事業ですが、都営住宅では希望者が急増し、三カ月も待たされる状況にあります。都営住宅を多く抱える区として、東京都に対し、改善を求める必要があると思いますが、伺います。
改修費用の支払い方法について、利用者の一時払いの負担を軽減する受領委任制度を十一月より実施するとのことです。我が党が繰り返し実施を求めてきた制度であり、速やかに実施されるよう求めます。
この間、区は制度の実施を求めた我が党の質問に対し、「業者の過剰工事など、消費者トラブルの回避が検討課題」としていました。この問題はどう解決されたのでしょうか。
私は、工事に必要な理由書をケアマネジャーが書くことで公平性が担保されていると思います。ところが、ことし三月まで、理由書の作成に出されていた一件二千円の補助金が介護報酬の引き上げを理由に廃止されてしまいました。住宅改修は利用者の要請により訪問をし、必要性を確認した上で理由書を作成、業者への連絡、立ち会い、確認など、他のサービス提供に比べ大変な苦労があります。また、住宅改修のみの利用は全く無報酬になることから改善を求める声が上がっています。制度の改善を求めると同時に、区として補助金を復活すべきと思いますが、伺います。
次に、都営新宿線駅のエレベーター設置について伺います。
「地下鉄の階段がとても大変、エレベーターやエスカレーターを設置してほしい」という願いは切実です。区議団としても、住民の皆さんの要望を受けて、一緒に東京都への要請を重ねてきました。そこで、改めて区の取り組みについて伺います。
東大島駅については住民の請願が都議会で趣旨採択されたことによって、地上から改札までのエレベーターを年内着工との回答を得ています。さらに、改札からホームまでは四基のエレベーターが必要で、江戸川区側から計画的に進めるとのことです。江東区側でも早期に着工できるよう、区としても強く要請すべきと思いますが、伺います。
大島駅は江東病院が目の前にあり、近くの団地も高齢化が進み、優先度が高いところですが、問題は用地の確保です。駐輪場の跡との話もありますが、出入り口階段をつぶさないとできないとのことで、北砂方面からの乗りかえの利用者に不便が生じます。利用状況の調査、用地の確保など、区として積極的に協力すべきと思いますが、伺います。
次に、西大島駅ですが、出入り口の一つが総合区民センター敷地内にあり、区の協力があれば設置可能とのことです。早急に検討し、都との協議に入るべきと思いますが、伺います。
交通バリアフリー法の成立をきっかけに、障害者や高齢者を含む区民の参加で基本構想をつくる動きが広がっています。千代田区では、全区域を重点整備地区としてエリアごとの年次計画を決めているほか、板橋では、バリアフリー推進条例を制定し、障害者や高齢者も参加して総合計画を作成、区民参加でのまちづくりを進めようとしています。江東区においても、区の実態に即したバリアフリー計画を区民参加でつくることを求め、見解を伺って質問を終わります。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
35 ◯区長(室橋昭君) 菊池幸江議員の質問のうち、私からは、介護保険事業についてお答えをいたします。
まず、特養ホーム施設計画と入所基準に対するご質問にお答えをいたします。
初めに、入所基準におきまして、痴呆の加点が少ないのではないかとのご質問でございますが、優先度を判断する要素は、本人の介護の必要の程度と介護の環境から設定したものであります。基本は要介護度にポイントを置き、痴呆は二重評価にならないように配慮しながら、さまざまな検討の結果、加点したものであります。今後、基準の見直しにつきましては、入所を進める中で、区民の意見、希望者の状況を把握し、その結果を見て対処してまいりたいと考えております。
二番目の特養ホーム整備計画についてでございますが、本区では、総合実施計画及び高齢者保健福祉計画に基づき介護サービスの基盤整備を進めているところでございます。特養ホーム入所希望者全員を入所させるのは極めて困難でございますが、この計画を基本に整備を進め、事業計画の前倒しをも念頭に置き、整備の充実に努めてまいります。
次に、グループホームの建設についてでございますが、痴呆性高齢者については介護者の負担も大きく、介護施設のニーズが高いところでございます。東京都におきましては、従来からの施設整備補助制度に加えまして、都有地及び建物を低廉な賃料で痴呆性高齢者と障害者向けのグループホームまたは生活寮として福祉事業者に貸し付けるという新規事業を開始したところであり、区内に候補地が五カ所あると聞いております。
都の補助対象となった場合には、本区といたしましては、現行の区の補助制度を有効活用しながら、計画の着実な推進を図ってまいりたいと、このように考えております。
次に、居宅サービス利用料及び介護保険料の減免についてお答えをいたします。介護保険制度は、言うまでもなく、負担と給付の関係が明確な社会保険方式をとっているため、被保険者自身による利用料金及び保険料の負担が前提となっております。このため、本区ではサービスを利用する際の利用料を支払うことが困難な高齢者がサービスを利用できなくなることのないように、国、都の制度を活用し、対応策をとっておるところでございます。
さらに、保険料につきましても、所得に応じた負担となっておりますけれども、本年度から生計の困難な被保険者に対しても、個別に保険料を減額することにいたしております。いずれにいたしましても、低所得者への対策は、全国市長会の国への要望にあるとおり、介護保険制度の中で規定すべきものと考えておりますことから、今後とも引き続き要望してまいりたいと存じます。
次に、手すりの取りつけ等、住宅改修についてのご質問にお答えをいたします。
都営住宅に住む高齢者の住宅改修は、介護保険制度を利用する方法と東京都が行う都営住宅の住宅改修制度がございます。都営住宅の制度は改修に時間を要しているため、区としても早急な対応を要望しているところでございますが、引き続き、東京都に改善を要望していきたいと考えております。
次に、介護保険の住宅改修の給付について、償還払いの改善についての問題でございます。これまで法的な問題点等について検討してまいりましたが、山本秀雄議員の質問にお答えしたとおり、十一月より受領委任の方法を併用することとし、利用しやすい制度へと改善をいたします。
次に、住宅改修に係るケアマネジャーの理由書の作成料についてでございますが、本年四月からのケアマネジャーの報酬引き上げにこの理由書作成料が含まれるようになりました。したがいまして、区としては、この報酬への加算を考えておりません。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(学校教育部長高橋三喜男君登壇)
36 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、きめ細かな教育の推進についてお答えをいたします。
昨年度からの制度改正で、児童・生徒の実態に応じて、小中学校の学級編制の弾力化が都道府県で認められるようになりました。平成十四年度に学級編制の弾力化を実施している道府県の実施状況を見ますと、各道府県の実態に応じて、対象学年と一学級の人数の基準を定めて実施しております。対象学年は、小学校低学年、中学校一年が多く見られますが、どの学年が効果的であるかといった具体的な報告はされておりません。
また、単に学級の人数を少なくすることだけでは、基礎・基本の徹底や個に応じた教育の推進を図っていくには不十分であり、習熟度に応じた学習集団の編成や複数の教員によるきめ細かな学習指導等、学習形態や指導体制の工夫が不可欠であります。このような理由から、本区では、東京都の方針と同様、学級の社会的集団としての教育効果を踏まえ、教科等の特性に応じた少人数授業等を充実させていくことが肝要と考えております。
今年度、本区では、東京都から小中学校に六十一名の少人数授業等のための教員定数加配を受け、さらに、本区独自の臨時講師を十一名配置することで、小学校三十八校、中学校二十一校で少人数授業及びティームティーチングを実施しております。来年度は「第七次教職員定数改善計画」の四年目に当たり、東京都教育委員会では、引き続き少人数授業を推進していく方針を打ち出しております。本区でも、都の「指導法の工夫改善等に伴う教員定数加配」にあわせて、区の臨時講師の配置を積極的に行い、今後も少人数授業等を中心とした、きめ細かな学習の充実に向け、継続して取り組んでいく考えですので、ご指摘の国や都への申し入れについては考えておりません。
次に、学習支援講師の増員についてですが、昨年度に引き続き、今年度も通常の学級に在籍しているADHD、すなわち注意欠陥多動性障害及びLD、学習障害等の理由により、個別に支援を必要とする児童・生徒に対し学習支援を実施しております。今年度は学習支援講師を昨年度より十名増員し、小中学校に十七名の学習支援講師を配置し、一人ひとりの実態に応じて個別指導を中心とした学習支援を行っております。学習支援講師の配置は、江東区が独自で実施している事業であり、今後も小中学校のニーズに応じて配置の拡大、充実を図っていく所存であります。
次に、二学期制についてでありますが、ご指摘のとおり、七月に二学期制検討委員会が中間報告を行いました。また、十一月には最終報告を行う予定でおりますが、これは学校の次年度の教育課程編成を視野に入れており、十一月に区としての方向性を示すことで、次年度以降、二学期制の試行について、保護者や地域の理解を得ながら、学校が十分検討できるようにするためであります。
今年度のモデル校四校については、前期終了後の十月と学年末の三月の二回、生徒、保護者、教職員にアンケートを実施するとともに、現在、Eメール、電話等で二学期制の実施について広く区民の声を寄せていただいているところであり、最終報告に向け、今後もさらに検討を重ねていく所存であります。
(土木部長大塚將夫君登壇)
37 ◯土木部長(大塚將夫君) 私から、都営新宿線駅のエレベーター設置についてお答えいたします。
高齢社会を迎えた今日、高齢者の円滑な移動の確保と都市施設を安心して利用できる環境の整備は緊急の課題であります。とりわけ、交通結節点である駅施設のバリアフリー化は重要であると認識しております。
ご質問の都営新宿線駅についてでございますが、森下駅につきましては大江戸線の整備により、住吉駅につきましては半蔵門線の整備により、それぞれエレベーターによるバリアフリー化が図られているところであります。残る西大島駅、大島駅、東大島駅につきましては、議会とも協力して早期のバリアフリー化を強く要請しているところであります。
特に、地上駅となっております東大島駅につきましては、高架下にエレベーターの設置空間がございますことから、区として早急な実現を要望してまいったところであります。その結果、昨日もお答えいたしましたとおり、地上からコンコース階までのエレベーター設置が今回実現する運びとなったものでございます。これに続くコンコース階からホームへのエレベーター設置につきましても、その早期実現を都に強く要望してまいる所存であります。
また、大島駅、西大島駅における用地確保への協力についてでございますが、都に新宿線の早期のバリアフリー化を要請した際に、都側から協力を求められたものでもございます。区といたしましても、個々の駅の状況に応じて可能な範囲で協力してまいりたいと存じております。
次に、区のバリアフリー計画を定めるべきとのご提案でございますが、駅施設の改良を鉄道事業者に求めていく上でも、地域の活性化や歩行者動線を考慮した駅を中心とする周辺地域のバリアフリー化について具体的な計画を持つことは必要であると考えております。
しかしながら、財源の問題もございますので、慎重に検討してまいる所存であります。
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38 ◯議長(榎本雄一君) 八番板津道也君。
(八番板津道也君登壇)
39 ◯八番(板津道也君) さきの統一地方選挙で初当選させていただきました板津道也でございます。新生クラブの一員として、大綱三点、初質問させていただきます。
質問の第一番目は、環境問題から見たLRT事業についてお伺いします。
地球環境の急激な変化により地球の温暖化が進み、今後百年間で地球の気温は最大で五・八度上昇すると予測されています。我が国では、二〇〇一年六月に自動車NOx・PM法が改正され、また、京都議定書に批准し、二〇〇五年には二〇〇八年から二〇一二年の間に二酸化炭素を初めとする温室効果ガスを一九九〇年水準の六%削減目標に対して明確な進捗を示さなければならず、経団連などとともに、省エネルギー及び新エネルギー施策に取り組んでいます。
しかしながら、本区のような大都市圏では、地表面の被覆の変化やエネルギー使用量の増大などによるヒートアイランド現象と言われる都市の温暖化も顕在化し、東京都では、過去百年間で約三度も気温が上昇し、熱帯夜の増加や集中豪雨など、深刻な問題となっております。
首都圏では、東京都を中心に一都三県で今年十月一日よりディーゼル車の規制が始まり、地方自治体としても独自に条例が施行され始めています。また、東京都では、「温暖化阻止東京作戦」というプロジェクトを行い、今年度九月より都バスの二路線で燃料電池バスを試験的に導入するなど環境対策を推進していますが、都の二酸化炭素総排出量の約三割強を運輸部門が占めており、総排出量はここ数年、横ばいに推移していますが、この部門では二〇〇〇年度の排出量が一九九〇年度比で約二割増加しており、排ガスなどに含まれる大気汚染物質による光化学スモッグ、酸性雨や呼吸器疾患など、直接健康にかかわる問題があり、条例の施行後、どのような成果が得られるかが注目されます。
このように、本区を取り巻く厳しい環境を考えますと、基礎的自治体として、本区としてもより積極的に環境問題に取り組むことが今後重要だと考えます。
そこでお伺いします。本区では、環境対策の一環として風力発電事業を今年度より始め、自然エネルギー利用に積極的に取り組むなど、その先進性は高く評価できることだと思います。しかしながら、温暖化問題は、区民にとってなかなか身近に感じられない側面があるのは事実です。区民一人ひとりに対して環境問題の喚起を促すためにも、この夏、「第三回世界水フォーラム」の参加者やNPOなどの呼びかけにより行われた「大江戸打ち水大作戦」のような、身近に区民が参加でき、なるべくコストをかけずに行うことのできる施策を、区としても行うことが重要だと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
次に、本区では一九七一年度から毎年六月から七月と、十一月から十二月の年二回、定期的に区内の九交差点で調査を行い、自動車の交通量や排気ガスによる大気汚染状況を把握していることは、今後の区の環境政策にとっても有意義だと考えます。本区は環境基本計画の中で、環境負荷の軽減と公害の防止を都市の理想像として掲げておりますが、前出の調査での環境汚染物質も決して低い数値ではなく、主要幹線道路の渋滞を少しでも緩和し、より高速での運行ができる道路整備が望まれます。
そのような環境事情の中で、本区では二〇〇〇年度から本年度まで調査費として予算を組んで、江東区LRT事業の実現に向けて、その可能性を採算性や需要予測など多方面から探ってきたわけでありますが、LRTは一人当たりの二酸化炭素排出量もバスの約三分の一であり、その他の環境汚染物質の排出量も二酸化炭素同様に非常に少なく、実現されれば、バスによる渋滞が緩和されることも予想され、明治通りを走る乗用車などの排ガスの量も軽減できるなど、周辺環境にとっても、とてもよい交通手段であります。
そこでお伺いします。環境問題の観点から見ても、また、沿線住民の約八割がLRTを南北交通として期待していることからも、LRT事業の早期実現を期待しますが、区のお考えをお聞かせください。
質問の第二番目は、学校施設等の防犯対策についてお伺いします。
先日、被告に死刑判決が下った平成十三年に起きた大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件に始まり、最近では、新潟などで登校時などにナイフで切りつけられるといった事件や、全国のあちらこちらで起きている下校時または帰宅時に車に乗せられて誘拐されるといった事件など、頻繁に新聞やテレビ等で報道されていますが、区内では、このような凶悪かつ非人道的な犯罪事件が児童・生徒に対して起きていないことは幸いであります。しかしながら、このような事件が今後いつ、本区でも起こるかわかりません。本区においては、十三年度に池田小学校の事件を機に学校の安全対策の意識が高まり、インターホンの設置、防犯ブザーなどを速やかに導入しましたが、その後、学校施設はどうなっているのかについてお伺いします。
また、現在、現実に在校中に凶悪な犯罪者が侵入してきた場合、どのような対応をするのか。私は、教室内に侵入してきた場合に限らず、校庭に侵入してきた場合など、さまざまなケースを想定したマニュアルの強化充実を図り、区の小中学校で防犯訓練を行うべきだと考えますが、区のお考えをお聞かせください。また、登下校時の防犯対策については、地域社会や関係機関との連携が不可欠であると思いますが、現状の登下校時の防犯対策は、具体的にどのように地域社会や関係機関と連携を図っているのか、今後、どのように連携を強化していくのかお聞かせください。
次に、小中学生の自分を守る安全教育についてお伺いします。
凶悪事件もさることながら、本区においても、深川・城東警察署で伺ったところ、変質者や不審者が出現し、露出をしたり、近づいて声をかけてきたり抱きつこうとするなど、また、マンション、アパートなど地域社会の目の届きにくい場所で、かぎを児童があけるのを確認してから宅配業者などを装って侵入し、いたずらするという悪質な事件も含め、何件かの事件があったと伺っております。
このような生活環境である以上、小中学生に対して、自分で自分を守るための安全教育が今まで以上に重要になり、定期的に繰り返し行うことが大切だと私は考えます。
そこで、何点かお伺いします。不審者や変質者が地域に出没しているという情報があった場合、学校ではどのような対応をとっているのか。不幸にも、性的な被害などに遭ってしまった場合、特にカウンセリングなどを含めた児童のメンタル面でのケアが大切だと考えますが、どのような対応をとっているのかお聞かせください。
また、一部の学校では、授業などでCAP(子どもへの暴力防止プログラム)などの自分たちで自分たちのを身を守るための指導をしていると聞いていますが、このようなプログラムは区内小中学校すべてで行うべきだと私は考えますが、現在行っているものがあるのか。行っていれば、その内容と、どのくらいの頻度で実施しているのかをお聞かせください。
また、区教委では、各学校に子どもたちの安全を守るためにどのような指導をしているのか、今後、どのような対応をしていくのかお聞かせください。
質問の第三番目は、高齢者の在宅・訪問サービスについてお伺いします。
現在、本区内には六十五歳以上の高齢者が約六万五千人在住されています。その中で、ひとり暮らしの高齢者は、本年の三月から五月に行われた実態調査によりますと、一万七千六百二十八人いらっしゃいます。本区は二十三区でも高齢社会に向かって福祉施設が整備されており、特別養護老人ホームに約一千名入所されておりますが、入所待ちの方も一千六百名を超える状態であります。今後、高齢者保健福祉計画に基づき、平成十九年度までに二百床をさらに整備する計画が進められております。
しかしながら、今後、本区でも問題となる少子高齢化でさまざまな財政上を含めた問題がつきまといます。これからは財政上の問題からも、もっと介護保険の対象者、非対象者ともに在宅介護にシフトし、在宅・訪問サービスに比重を置いた高齢者福祉政策が求められると考えます。
本区は現在、介護保険以外のさまざまな福祉サービスを行っております。特に、高齢者世帯やひとり暮らし世帯に対しては、安心して暮らせる環境づくりとして、個人宅に関係機関と連携した緊急通報システムや非常ベル、自動消火器の設置などのサービスや、友愛実践活動のような見守りサービスを老人クラブのボランティアの活動として推進し、区内百二十四クラブ中六十二クラブが参加しています。また、七十歳以上のひとり暮らしの方に、月曜日から土曜日、乳酸菌飲料の配達の際に安否の確認をするサービスも民間と共同で行われておりますが、社会的な問題ともなっている高齢者の孤独死が、私の知る限りでも、区内で幾つか起きており、身近な問題となっている現状であります。
そこで質問いたします。現在では、高齢者福祉ビジネスにさまざまな分野の企業が参入し始め、その分野の特徴を生かしたユニークなサービスが提供されています。電子通信機つきの電気ポットやトイレを使用した際の利用履歴が電子メールなどで一日数回、遠方に住む家族に送信され、安否の確認ができるというようなIT技術を用いたサービスも民間企業から提供され、一部の自治体でも試験的に補助金などを出しているようですが、本区でも高齢者が安心して暮らせるまちづくりの観点から、孤独死ゼロを目指して、今後、このような見守りシステムを含めた高齢者世帯やひとり暮らし世帯に対する民間のサービスを区の福祉政策の一部として取り入れるべきであると私は考えますが、区のお考えをお聞かせください。
最後に、本区の高齢者福祉政策で行われているシルバー人材センターをより積極的に充実させることにより、より多くの高齢者の方々に働いていただき、地域社会に貢献しているという精神的な生きがいを持っていただくことでより健康に生活していただき、今後も肥大し続けると予測される高齢者福祉に対する予算を少しでも抑えられるような社会こそが、今後、本区が目指すべき姿だと私は考えますが、区の今後の方針についてお伺いします。
以上で質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
40 ◯区長(室橋昭君) 板津道也議員の質問のうち、私からは、高齢者の在宅・訪問サービスのご質問にお答えをいたします。
高齢化が進む中、高齢になればなるほど疾病や介護を必要とする割合が高まり、介護サービスの基盤整備とあわせまして、高齢者の生活支援の施策の充実が求められているのはご指摘のとおりでございます。
このため、本区におきましては、各種高齢者援護事業を展開しておりますが、今後、ひとり暮らし高齢者等がますます増加することから、援護の必要な高齢者の実態把握に努め、支援していく必要があると考えております。
そこで、本区では現在、今年三月から五月に実施した「ひとり暮らし高齢者等実態調査」を基礎にいたしまして、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯が住みなれた地域で安心して暮らしていけるよう、「見守りネットワーク」事業の構築に向けて準備を進めているところでございます。今後、準備が整い次第、開始していきたいと考えております。
なお、ITを活用した見守りサービスの導入についてのご質問でございますが、近年、高齢者のみの世帯の増加に伴いまして、従来、行政の分野とみなされてきた高齢者サービスが民間事業者を中心に拡大しております。これらのサービスはさまざまあり、ご質問の見守りサービスにつきましては、センサー型と商品使用型に大別され、最近開始したものが大半で、全国でも使用例がまだ少ないというのが現状でございます。
また、これら見守りサービスは、日常生活を見守ることに重点を置いたサービスであり、高齢者が急にぐあいが悪くなった場合などに緊急事態を知らせるものではなく、ひとり暮らし高齢者のためには緊急通報との併用が必要になります。このため、これらITを活用した見守りサービスの導入につきましては、他のサービス要望とあわせ、今後の検討課題にさせていただきたいと存じます。
また、高齢者の意欲や多様な経験、能力を生かした就業対策は、介護保険サービスの経費抑制の観点からも大変重要な施策と考えており、本区では、シルバー人材センター事業の拡充に努めているところでございます。シルバー人材センターは、高齢者が健康で働く喜びを通じて、自主的に社会参加を図り、地域社会に貢献できることから、その役割がますます重要になってきております。厳しい状況の中ではありますが、会員も設立当時の六百六十二人から二千四十九人と三倍に増加し、受注件数も四千三百九十二件、契約高も七億六千六百万円を超え、年々増加の状況にあります。長引く不況の中、受注確保は厳しい状況にありますけれども、今後とも、より一層の就業開拓に取り組み、事業拡大を図るように指導してまいりたいと存じます。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁をいたさせます。
(環境清掃部長合田進君登壇)
41 ◯環境清掃部長(合田進君) 私からは、環境問題から見たLRT事業についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、二酸化炭素など温室効果ガスの増加による地球温暖化は、海面の上昇や生態系を損なうなど、さまざまな分野への影響が懸念され、我が国においても、京都議定書での六%削減目標達成に向けての努力が行われているところであります。
また、ヒートアイランド現象といわれる都市部における気温の上昇は、熱帯夜の増加や集中豪雨などの異常気象をもらたしていると言われております。これに対し、東京都では、都市と地球の二つの温暖化の阻止に向けた「温暖化阻止東京作戦」を掲げ、自動車を原因とする二酸化炭素排出量削減対策の強化などを打ち出しております。
そこでまず、本区での環境問題に対する取り組みについてであります。区では、これまでも区報や環境講座等を通じて省エネやリサイクルなどを呼びかけてまいりましたが、本年三月から、区民が各家庭において、身近なところから省エネ活動に取り組み、その結果が電気量や二酸化炭素排出量の削減値となって表示される簡易版の環境家計簿を作成し、環境関連の講座や消費者団体などを通じて、その活用を呼びかけているところでございます。
また、今年度の区民まつりでは、環境講座修了生のボランティアにより、地球温暖化等についての啓発の呼びかけを実施する予定でございます。
さらに、ご質問にもございましたように、区民一人ひとりが身近なところからこの問題に取り組んでいくことが大切なことは申すまでもありませんので、今後、策定を予定している環境行動計画の中では、区民、事業者の果たす役割について、具体的に検討してまいります。
次に、環境問題から見たLRT事業についてのお尋ねでございます。LRTは欧米において、近年、急速に普及しつつある軌道系交通機関であり、特にヨーロッパにおいては、環境面からも高く評価されているものであります。一例を申し上げますと、フランスのグルノーブルでは、バス路線の整備に伴い、道路渋滞や排気ガス、騒音の増加などの問題が生じ、その対策としてLRTの導入が行われました。その結果、公共交通への利用者が三〇%増加し、自動車から公共交通へのモーダルシフトを促す効果が明らかになったものであります。
したがいまして、環境面からLRTをどのように本区として評価していくかということにつきましては、諸外国の例や一人当たりの運送にかかわる二酸化炭素の排出資料などからも、LRT導入が大気汚染等の環境の改善に役立つことはご指摘のとおりでございます。
しかしながら、本区において、LRTの導入を検討しております理由は、環境面も視野に置きつつ、主としては、本区の南北交通の実現を図ることにあります。この見地から、LRTについて、事業収支の面からの実現可能性や運営に当たっての課題について、現在、調査検討しているところでございます。
いずれにいたしましても、本事業の結論につきましては、今年度中にもご報告させていただく考えでございます。
(学校教育部長高橋三喜男君登壇)
42 ◯学校教育部長(高橋三喜男君) 私からは、学校施設等の防犯対策についてのご質問にお答えいたします。
本区の小中学校の在校時の防犯対策の基本的な考え方といたしましては、侵入者を未然に防ぐ対応、侵入者が施設に入った場合の対応、侵入者に起因する人的、物的被害が生じた場合の対応の三つの視点から対策を講じてきたところであります。
平成十三年度以降の学校安全対策としては、既存のソフト・ハードの防犯対策の継続とあわせて、毎年、施設整備工事を通じて施設への侵入を防ぐため、安全点検項目に沿った現状調査を行い、フェンス、外壁等の校舎外周の改善に努めているところであります。
また、現実に、凶悪な犯罪者が侵入した場合の対応としては、まず、学校一一〇番で通報の上、警察の応援到着の間、児童・生徒の安全確保を第一として、防犯訓練を活用し、冷静に対処することを基本としております。今後、マニュアルの充実を図るとともに、さまざまなケースを想定した訓練の充実にも努めてまいります。
次に、登下校時の防犯対策としての地域社会との連携につきましては、地域との協力・連携を強化するため、学校評議員会への防犯体制づくりのための協力要請を行うとともに、登下校時の学校周辺パトロールを強化するため、PTAに対し協力をお願いしており、今後、さらに他団体にも協力を働きかけてまいります。
また、非常時に児童が助けを求める「子どもSOSの家」の周知を強化するなど、さらに登下校時の防犯対策の充実に努めてまいります。
次に、小中学生の自分を守る安全教育についてお答えをいたします。
学校が不審者等の情報を入手した際には、区教委と警察とが連携をとりながら非常時の体制を組み、教職員が子どもたちを引率し、集団下校させたり、PTAの協力を得て地域パトロールを実施したりしております。
また、不幸にも、子どもが性的被害等に遭ってしまった場合には、子どものプライバシーの保護を第一優先としながら、専門機関との連携を図り、カウンセリングを中心に心のケアに当たっております。
各学校におきましては、学級活動の時間はもちろん、帰りの会やあらゆる教育活動の中で、自分の身を守るための指導を行っております。
CAPにつきましては、学校の実情に応じて、PTAと連携を図りながら、指導の一部として取り入れている学校もあります。区教委といたしましては、見知らぬ人に声をかけられてもついて行かない、下校時はできる限り複数で帰る、帰宅時刻を守る、エレベーターには一人では乗らない等の具体的な指導を担任や生活指導主任を中心にして、日ごろから繰り返し行っていくことが重要であると考えております。
区教委の学校への指導に関しては、校園長会、生活指導主任会等の機会を通じての日常的な安全指導の徹底はもちろん、事件が起きた場合にはファクス等を用いて迅速な情報提供を行い、子どもたちの安全確保を図るよう指導しており、今後もさらに継続して、子どもたちの安全教育に力を入れてまいります。
──────────────○──────────────
43 ◯議長(榎本雄一君) おはかりいたします。
議事進行上の都合により、暫時休憩いたしたいと存じますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
44 ◯議長(榎本雄一君) ご異議がないものと認めまして、暫時休憩いたします。
午後五時七分休憩
──────────────○──────────────
午後五時十四分開議
45 ◯議長(榎本雄一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
──────────────○──────────────
46 ◯議長(榎本雄一君) 一般質問を続けます。
二十三番添谷良夫君。
(二十三番添谷良夫君登壇)
47 ◯二十三番(添谷良夫君) 私は、日本共産党区議団を代表し、大綱三点について質問します。
第一に、子育て支援について質問します。
まず、小児科医不足についてです。昨年十二月に開設した平日夜間こどもクリニックは、「子どもが病気のときに気軽に駆け込めるところがあるというのは本当に心強い」との声が寄せられ、利用者数は、七月までの八カ月間で、一歳から三歳の子を中心に一千百二十一人に上っています。しかし、子どもの数は、城東・深川ほぼ同数に近いのに、利用者の地域別内訳は、城東三分の二、深川三分の一となっています。これは設置場所が大島総合区民センター内の一カ所だけということによる影響と思われます。休日診療が城東・深川二カ所体制で行われていることから見ても、平日夜間こどもクリニックについても、深川地域にもう一カ所設置するべきです。伺います。
子どもの急な発熱などの際、いつでも医者に見てもらえることの安心感は、若い母親にとって大変心強い子育て支援です。ところが、小児科医と小児科医院は減少を続け、江東区でも、この十年間で小児科の診療所で一六%、医師で二二%と、ともに大きく減少しています。特に、夜間の小児医療体制は脆弱になっています。大きな原因として、小児科の診療報酬などが、その専門性と特殊性に見合ったものになっていない、そのため、小児科医のなり手も極めて少ないと指摘をされています。小児科医不足を打開するよう国に求めるべきです。伺います。
次に、子どもの医療費無料制度の拡充についてです。あるお母さんは、「二人の子どもがアトピーと喘息で医療費が一カ月に一万円もかかります。不況の中、乳幼児医療費を国の制度で無料にしてください」と訴えるなど、子どもの医療費無料制度は国民的願いであり、全国三千二百四十一の全市町村で、就学前の子どもに対する何らかの形での医療費助成制度が実施されています。しかし、子どもの病気になる割合は、小学校低学年まで高率で推移することから、乳幼児医療費無料制度を小学校低学年まで拡充することは、不況のもとで、何物にも代えがたい子育て支援となるものです。
北区では、乳幼児医療費無料制度を来年度から、入院費について小学校低学年まで拡充するための調査費を計上することになりました。我が党は、今年第二回定例会において、小学校一年生まで医療費無料制度を拡大するための条例提案を行いました。既に中学校卒業まで無料とするところも生まれるなど、年齢拡大は大きな流れとなっています。早期の実施を求めるものです。伺います。
坂口厚生労働大臣は国会質疑で、「市町村が乳幼児医療費無料制度を行っていることに感謝する」と答弁しています。ところが、その一方で、乳幼児医療費の独自支援を行っている自治体に国庫負担金をカットする減額調整というペナルティーを科しています。国に対して減額調整をやめること、乳幼児医療費助成を国の制度として実施することを求めるべきです。伺います。
続いて、保育園待機児解消についてです。乳幼児については、年度当初においてさえ、現にフルタイムで働いているのに、子どもが保育園に入れない。ましてや、年度途中では理由のいかんにかかわりなく入れる見込みはありません。母子家庭、父子家庭にとっては、働くことすらできない深刻な事態となっています。
区は長期基本計画で十六年度当初に待機児をゼロにするとしてきました。しかし、達成期限を半年後に控えて、待機児は全地域にわたって増加の一途です。政府が打ち出した新定義を使っても達成の見込みがないことは明らかです。この事態をどう打開するのか伺います。
また、こうした事態を招いた根底に、区は長期基本計画策定当時、今後の保育要求率が乳幼児の増加率を上回って増加する可能性に言及していながら、保育園建設を民間任せにしてきたことが挙げられます。加えて、ゼロ歳から五歳児の人口が平成九年を底にして毎年増加してきました。これが毎年の人口集計表に明らかなのに、漫然と眺めてきた区の責任は重大です。
国の新定義は、第一希望の認可園に入れず、やむなく認可外に入れている子や、自宅で空きを待っていても第一希望しか申し込んでいなければ待機児と認めないという事実上の待機児隠しです。ほとんどの場合、親の願いは認可園に入れることです。公設・認可保育園を増設し、区の責任で待機児を解消する具体的計画を策定するよう求めます。
その際、新定義で待機児から外された子どもたちも待機児として把握するべきです。あわせて伺います。
改築後の毛利保育園を新たにゼロ歳児保育実施園とするように、独立園舎改築を前倒しで行い、ゼロ歳児保育実施園拡充を急ぐよう求めます。伺います。
次に、「子ども家庭支援センター」の機能強化についてです。
「子ども家庭支援センター」が子育て不安に悩む若いお母さんから歓迎されています。また、たくさんのボランティアも活動に参加しています。同時に、指導員からは、「週に二日とか三日、あるいは、急な用事、リフレッシュなどで一日だけというようなときの一時預かりを実施する保育園が二カ所しかなく、利用しにくいので実施園をふやしてほしい」また、「申し込み理由の二度聞きで利用抑制とならないよう支援センターが要請した子どもは無条件で一時保育を受け入れてほしい」さらに、「支援センターと児童相談所、保健所が一体で支援する体制がないので、ぜひネットワークをつくってほしい」という切実な声が寄せられています。早急な対応を求めます。伺います。
第二は、中小企業支援策についてです。
深刻な不況のもとで、町を歩いていて寄せられる声は、「仕事がない」「景気をよくしてほしい」というものです。月のうち半分も仕事がなかったという話も珍しくありません。こういうときだからこそ、行政が本区の産業経済を支えている中小企業支援に知恵も力も尽くさなければなりません。
ところが、「中小企業者育成などの事業や施策を効率的・弾力的に推進するため」として設立した中小企業公社を「七割が区の補助事業や委託事業だから民間活力による効果が少ない」、「非効率」などとして廃止しようとしています。そもそも中小企業支援の構えが問われます。隣りの墨田区では、幹部職員総出で悉皆調査を行い、その上で約五千五百の事業所に対し、十二名の経営相談員と五名の技術指導員、さらに、個別の企業では持てない測定器具なども装備した中小企業センターを設立するなど、その対策は全国に注目されています。
本区では悉皆調査もやらず、約二万の事業所に対し、経営相談員七名にISO相談員一名です。公社ができて十二年間、中小企業支援に対する公社の支援体制は発足当時とほとんど変わりません。「経営巡回相談や経営相談、下請相談」などの相談事業は大変好評でした。中でも、事業所に出向いて相談に乗る巡回相談は、経営者に好評でした。しかし、これにこたえるための相談員を一人もふやしませんでした。この間、公社予算も九七年以降、四億円を割り込んだままです。今やるべきことは、相談員と予算をふやし、中小企業に対する支援を強化することです。拙速に公社をなくすべきではありません。あわせて伺います。
また、今後についても、深刻な後継者問題を打開するために、働きたい若者と中小業者を結ぶ相談窓口を設置する、また、緊急つなぎ融資などに保証を行うなど、その気になればやるべきことはたくさんあります。今こそ中小企業支援に区が果たすべき役割を明確にする上でも、中小企業振興基本条例をつくるべきです。伺います。
次に、酒販売の規制緩和についてです。
酒は健康や社会への影響から、販売には犯罪歴がないなどの人的要件に加え、距離基準、人口基準を要件とする免許制がとられてきました。ところが、青少年への影響を心配する声が上がる中、二〇〇一年に距離基準が廃止されるなど、相次ぐ規制緩和で、酒の全販売数量に対する一般酒店の販売数量の割合は、九〇年度に八割あったものが二〇〇〇年度には五割台へと激減しました。そのため、政府はことし九月一日から、酒類販売についての規制が全廃されるのを前に、規制緩和の影響が激しい地域に一年間、新規開店を認めない緊急調整地域の指定を行いました。
城東地域は十四年度の地区全体の販売量が前年に比べ二割も落ち込んだのに、売り上げが一割以上落ち込んだ店が過半数というもう一つの指定要件を越えられず、適用除外となりました。二十三区全体でも、売り上げが激減した地域は二十カ所に上りますが、そのうち四分の一の地域が同様の理由で対象外とされました。地元小売業者の営業と暮らしを守る上からも、政府に対し、当面、緊急指定地域の要件緩和と期間延長を求めるべきです。伺います。
次に、仕事量の落ち込みが激しい建設業の仕事確保についてです。
小中学校の耐震補強工事は今後五年から六年で終了させる。その一校当たりの費用は、およそ二億円程度と伺っています。対象となる学校は三十五校ですから、五年から六年で、およそ総額七十億円という大きな仕事です。これだけの仕事を区内業者に回せば、地域経済活性化にとっても大きな効果が期待できます。ところが、ことしと去年の耐震補強工事の発注先を見ると、例えば、契約金額四億八千三百万円の元加賀小の場合、一次下請の段階で、既に八三%は区外の業者、また、四億四千九百万円の第二辰巳小では、九三%が同じく区外業者というあり様です。余りにも区内業者に還元されない、地域経済活性化に配慮のない発注の仕方と言うべきです。分離分割発注を進めるなどして、実際に仕事を行う段階で、少なくとも五〇%以上の仕事が区内業者に回るよう、区として発注の仕方を改善するよう求めます。伺います。
また、個人住宅の耐震補強工事に区内業者利用を条件に補助金を出し、大地震対策を強化しながら、区内建設業者の受注機会拡大を図るよう提案いたします。横浜市では、既に個人住宅の耐震改修に対する補助金制度を実施しています。古い木造住宅が密集する地域が多い本区において、耐震改修促進は、とりわけ重要な課題であり、不況対策として進める上からも、補助金制度を提案するものです。伺います。
最後に、アーバネットマンション建設とその通学区域指定についてです。
東砂八-二十二のアーバネットマンション建設強行は、他の業者が区の要請を受け入れ、着工を延期しているもとで、これ自体問題です。しかし、このマンションに入居してくる子どもたちを「すぐそばの五砂小に入れない。三砂小に行け」というのは、現行の学区域を無視した道理のないものです。区の「教育改革江東・アクションプラン21」でも、「教育の原点は家庭、地域であるとの認識に立って」と地域のつながりの重要性を指摘しています。アーバネットマンションから出現すると予測される子どもの数は十二人、一学年わずか二名ずつです。だから、区は八月二十二日の文教委員会で、「現時点でアーバネットマンションから出現する子どもたちは受け入れ可能」としています。今のアーバネットマンションの子どもたちは五砂小に受け入れるべきです。伺います。
そして、将来、子どもがあふれそうになったときの学区域については、父母、地域、学校の総意をもって解決すべき問題だと思います。伺います。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
(区長室橋昭君登壇)
48 ◯区長(室橋昭君) 添谷良夫議員の質問のうち、私からは、子育て支援についてのご質問にお答えをいたします。
まず、小児医療に関してでございます。
小児医療を取り巻く状況は、少子化、核家族化、共働き家庭の増加、小児科医師の減少やその高齢化等、さまざまな要因が相互に関連しながら問題を複雑化させております。こうした状況の中、本区は昨年十二月から、平日夜間こどもクリニックを開設いたしました。
第一点目の平日夜間こどもクリニックの深川地区の増設についてのお尋ねでございますが、東京都の補助が区一カ所であることから、既存の休日診療所の有効活用、交通の便がよいことなどから、大島四丁目の総合区民センターにある休日診療所で開設をいたしたところでございます。現状では、一日約七、八人という状況だと思いますが、医師等の確保や財政負担の問題もありますので、当面は患者数、小児人口、医療資源の推移等を見守りまして、今後、十分研究してまいりたいと存じます。
二点目の小児科医不足の打開を国に求めることについてでございます。国は小児の初期診療ができる医師をふやすため、来年度からスタートする新医師臨床研修制度において、小児科を必修化することにいたしております。また、平成十六年度厚生労働省の概算要求によりますと、小児科医の意識や勤務の現状を踏まえまして、若手医師の確保や資質の向上のための研究を行うことや、地域の内科医等を対象とした小児救急に関する研修の実施を計上しております。このように、国も小児医療に対して一定の対応をしておりますので、区といたしましては、現時点では、国等の動向を見守りたいと存じます。
第三点は、子どもの医療費無料制度の拡充についてお答えをいたします。
病気やけがにより医療機関で受診する機会の多い乳幼児について、その経済的負担は、若い親にとり決して軽いものではありません。本区では、早くから乳幼児医療費助成事業を創設し、所得制限の撤廃、対象年齢の拡大、入院時食事代の助成等、内容の充実を図ってきたところでございます。
ご案内のとおり、区政世論調査でも、「子育てしやすい江東区」として評価され、子育て世代の転入増加が続いております。全国的に少子化問題が深刻な中で、就学前の乳幼児人口が着実にふえているところに本区の特徴がございます。このような状況を踏まえまして、学齢前の現行の制度の中で確実な事業実施をする所存でございます。
国民健康保険会計に影響を与える国庫補助負担金の財源調整措置の廃止につきましては、区財政の多くの分野に認められる措置であり、特別区長会におきまして、「財政事情による調整措置の廃止」として見直しを要望してまいります。
また、国レベルでの乳幼児医療費助成制度の創設につきましては、全国市長会で要望しているところでございます。
次に、保育園の待機児解消策についてでございますが、本区南部地域を中心にした人口急増等により、待機児の全面的な解消は困難な状況にあり、特に、豊洲管内における対応が急務であると考えており、豊洲管内に十六年度中に認可保育園を整備する方向で検討を進めております。
また、幼児人口の増加に対応するため、平成十三年度から三年間で、認可園で約三百名、認可外施設で約三百名の定員増を図ってきたところであり、今後とも、民間活力を活用しながら、保育ニーズに応じた施設の整備を図ってまいります。
なお、独立園舎の改築につきましては、総合実施計画に基づき計画的な改築を進めておりますが、改築時には、保育サービスの充実が図られるように整備してまいりたいと存じます。